庭の池の傍には、真っ白な東屋があった。そこは
「アネモネ。結婚しよう」
「
「そうよ。他に誰がいるの?」
「そうですね。大変名誉なことです。ありがとうございます。謹んでお受けいたします」
「シロツメクサで冠と指輪とブーケを作りましょう」
「えぇ、それはとても素敵ですね。では、早速」
冠は、どこかの映像でみた戴冠式の影響かもしれない。結婚式に必ずしも必要なものとは思えないが、
集めたシロツメクサを編み込んで、
乗せる大きな冠を作りながら、アネモネが言った。
「ところで、
「!」
そこまでは考えていなかったと見え、
「私、花嫁したい。でも、アネモネの花嫁も見たい」
「では、どちらも花嫁になってしまいますね」
そう言いながら、アネモネはにこりと微笑んだ。
「素敵! そうしましょう、アネモネ! とても素敵なアイデアよ!」
はじけるような笑顔で、キラキラと眩しい瞳をアネモネに向ける
シロツメクサを編んで作った冠がウェディングドレスだった。冠を頭に乗せブーケを手に、
柔らかい木漏れ日が石畳にマーブル状の光の粒を揺らし、爽やかな風が吹き抜け、小鳥がさえずる。上気した頬を紅色に染めて
「誓いの言葉を」
どこで覚えたのか、
「はい」
「あー、でもわかんない。アネモネ、教えて」
「では、私に付いて同じように言ってみてください」
「わかった」
「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも」
アネモネが区切って教えてくれているのだと察し、まずはここまでを繰り返す。
「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも」
「富めるときも、貧しいときも」
「富めるときも、貧しいときも」
「これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け」
「これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け」
「その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います!」
「あ、そか。その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います」
アネモネも心のこもった調子で答えた。
「では、指輪の交換を」
「はい」
東屋のテーブルには、先ほど
アネモネが
次はアネモネの指に指輪を嵌める番だ。アネモネは
「最後に誓いのキスを」
そういう