甘系イケメン王子は、爽やかに笑いながら、大きなおっぱい袋の中におっぱい饅頭を詰め込んでいた。
大きなおっぱいは、おっぱいを模した布の袋で、チャックが全開になっている。その中に、ポニョン国女性陣から魔女が盗んだおっぱい饅頭を詰め込んでいるのだ。
おっぱいを我がものにしようと、鼻息も荒く饅頭を詰め込んでいるわけではなく、爽やかに作業をしているだけにしか見えないのが、かえって見る者の脳内にカオスを呼んだ。
「本当に、何をなさっているのですか?」
サリは再び尋ねた。
表面的には平静さを取り戻しているが、実際の胸の内は不明だ。
王子は、おっぱいにおっぱいを詰め込んでいるとは思えない爽やかさで快活に答えた。
その行為にやましさは、一切感じていないのだろう。
「これまで、おっぱいの有り無しなど些細な問題だと思っていたのだが、大きな間違いだったよ! このハリと柔らかさを兼ね添えた何ともいえない弾力! これは、素晴らしいものだ! しかしだよ! バラ売りしてもいいのだが、こうして袋に詰め込んでクッションにして売り出すのも有りだと思わないかい? 普通にクッションとして感触を楽しんでもいいし、中身を取り出して楽しんでもいい! 一粒で二度美味しい商品だと思わないか!? クッションもいいが、おっぱいベッドというのも売れるかもしれないな!」
「はぁぁあん! 今のぉ、お聞きになりましてぇーん? こーの通りなのでしてよぉん! 昨夜はぁ、わたくしとてぇ、色々と忙しかったというのにぃん。クッションにしたいからおっぱい型の袋を早急に用意しろとか当然のように要求してくるんですのよぉん! 信じられませんわぁん! 囚われの王子としての自覚が足りませんわぁん! あまりにもうるさいからぁん、仕方なく超特急で用立てましたのよぉん! まったくぅん! こんなことになるのならぁん! 小部屋におっぱいと一緒に詰め込んでおくべきでしたわぁん!」
王子は煩悩ではなく商品開発に目覚めてしまったようで、今後の展望を快活に語った。
王子が語り終えると、そもそもの元凶である魔女がしゃしゃり出てきた。魔女は、さも自分が被害者であるかのように、身をくねらせながらサリに訴えている。
王子に被害者の自覚が足りないのならば、魔女には加害者の自覚が足りていないのだが、それを指摘する者はいなかった。
言うだけ無駄だからだ。
おそらくは、ずっと追い求めてきた理想のおっぱいを手に入れる魔法をついに完成させた勢いのまま、後先考えずに突っ走った結果がコレなのだろう。
サリは一瞬、ほんの一瞬だけ頭痛を堪えるような顔をしたが、すぐにそれを平静さの仮面の下に押し隠し、魔女はスルーして王子の方へ苦言を呈した。