「ネフェルさん、安心してください。カーコス殿は決して弱くありませんよ。むしろ彼は総合力では魔界学園でダントツで1位なんですから」
「そ、そうなんですね」
「ええ。火炎魔法、氷結魔法、雷電魔法などもそうですし、剣術でも弓術でも馬術でもそうですが、いずれも次席、また成績上位なんです。
剣術の腕も相当で、我が兄グランダムを除けば彼に敵う剣士は一人もいません」
「そうよ、ネフェルちゃん。だからそんなに心配しないで」
ユキメはネフェルの緊張をほぐそうとギュッと手を握った。
「剣術だけではなく、攻撃魔法や支援魔法、それに回復魔法も使用可能な一騎打ちなら我が兄グランダムもカーコス殿に太刀打ちできないかもしれません。
ですが───今は剣術のみの勝負ですからね。兄も剣術だけならカーコス殿に勝ることを証明したいでしょうし、こちらも気合が入っていますよ」
雪辱に燃えるカーコス───。
剣術だけは譲れないグランダム───。
二人の意地がぶつかる熾烈な勝負になるとネフェルは覚悟した。