そ、それで本当に大丈夫なのでしょうか……?
私は心配になりました。
グランダムさんは精悍なお顔と言えば聞こえが良いですが、言い方を変えれば
身長も高く、筋肉質で腕などは私の胴回りもありそうな程の逞しさです。
このような殿方を下手な嘘で怒らせたら私なんか割り箸のようにいとも簡単にへし折られてしまいそうです。
(いいから言い張れ!
お母様にそう促され、私は覚悟を決めました。
「な、何をいうか。私は───いえ、
私はできるだけ毅然とした態度でお答えしました。
そうお答えするとグランダムさんはますます私にお顔を近づけ、ギュッと焦点を絞るように私の眼を見据えました。
「本当にネフェルだと申すのか?」
ち、近いっ……! お、お顔が近いですっ……!
「は、はい! ネフェルです! ほ、本当です! ほ、本当なのでどうか信じて下さい~!」
そう訴えるとグランダムさんは益々お顔を近づけ、さらに私の眼を凝視しました。
ひぇ~。もうお顔の距離が───距離が限界ですっ……!
「ち、近いですっ……!」
思わず私は声に出してしまいました。
するとグランダムさんはハッとして、今まさに唇さえも触れ合いそうな距離まで顔を寄せ合っていることに気づかれたようです。
グランダムさんはパッと私と距離をとりました。
「す、すまなかった、ネフェル。そうだな。確かにその美しい瞳。まるで吸い込まれてしまいそうなその深い色合いはネフェル以外の何者でもない。別人が化けていたり、何かに憑依されていたり、操られているような異変もなかった。お前は間違いなくネフェルだ。疑ってすまなかったな」