「えっと───グランダムさん?」
私は最初に会った3人の青年のどなたかだとは思いましたが、そのうちのどの方でしたっけ?と顎に人差し指をあてて考えました。
するとお母様がすぐに教えてくれました。
(ちっ。グランダムか。相変わらず間の悪いヤツめ。グランダムは赤髪の精悍そうな顔のヤツだ。グランダム・サタン・アスタロッド───先代魔王の弟で4人兄弟の次男だ)
ああ。なるほど。私の人生初顎クイのあの方でしたか。
「あの、お母様。どうしましょうか? 部屋に招き入れても宜しいのですか?」
(構わん。グランダムは意外と根に持つタイプでな。無下に追い返すと何かと面倒だ。部屋に入れてさっさと要件を済ませ、帰らせるのが総合的に見て一番手間が少ない)
なるほど……と私は舌を巻きました。
お母様は一瞬で先のことまで見据えて結論を即断されています。
会社であれば「仕事ができる人」「キレ者」として出世をされるタイプでしょう。
お母様が仰るので私は扉を開け、グランダムさんをお部屋に招きました。