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011話 お母様になった私(02)

(どちらも何も、わらわはここにおる。おぬしと同じく妾の中じゃ。まあ、この身体が妾の身体なのじゃから当然じゃろう)


 い、言われてみればそうですが……。

 それなら一言そう言っていただきたかったです……。


「お母様の御身体をもてあそんですみませんでした……」


 私は頭の中で土下座をしてお母様に謝罪しました。


(よい。わらわの身体を預けるのじゃ。恥ずかしがっても仕方ない。隅々まで確認して委細を把握するがよい。それよりおぬしも疲れたであろう。今日は早々に休め。妾も寝るゆえ)


「あ、あのお母様とはいつでもお話しできるのでしょうか?」


(いや、わらわも四六時中意識があるわけではない。何せ妾も倒れて死にかけたところじゃからな。ふだんは眠り、何かあればその時だけ起きる。それ故、些事についてはおぬしが良しなに対応せねばならん。頼んだぞ)


 そう言われるとお母様は眠りにつかれようとされました。


 私は全く眠くありませんでしたが、夜も更けていましたのでお母様の仰る通り今日は寝た方が良さそうだと思いました。


 そこで豪奢な天蓋付きベッドのフカフカ具合を確かめようと思いましたが、その時───不意に部屋の扉がノックされました。


 とても小さなノックで、恐る恐るといった感じでした。

 一瞬、気のせいかとも思いましたが、確かに扉の前に誰かがいるようでした。

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