「とにかくネフェルを部屋にお連れしろ」
赤髪の精悍そうな青年が侍女に命じました。
「それと医者も呼んでください。我が国で最高の名医をお願いします」
次に金髪の優しそうな顔立ちをした糸目の青年が、そう執事に命じました。
「僕は祈祷師を連れてくるよ! あと
人懐っこそうな笑顔の黒髪の青年はそういって走り出しましたが、「あ、でも祈祷師ってどこにいるんだっけ?」と右往左往し始めました。
私は状況の整理が追い付かず、青年たちがあれよあれよという間に事を進め、侍女や執事、それに人懐っこそうな黒髪の青年がバタバタと走り回る喧騒を呆然と眺めることしかできませんでした。
しかし、そんな私はあることに気づきました。
それはこれ程までに慌ただしい喧騒の中で、ただひとり、時が止まったかのように静止している人がいたのです。
それは玉座にお座りになった男の子でした。
年は6~8才くらいでしょうか。
薄水色に近い銀髪に、幼さが残りつつも利発そうな凛々しい顔立ち───。
この男の子が高貴な生まれの
その為、私はこの男の子こそお母様が仰っていた魔王様であると確信しました。