「あ、いえ、このお部屋ですが、ちょっと寒いなと思ってまして……。お母様は素敵なドレスをお召しですが、胸や背中が開放的で、
私は仕事用の白の長袖ブラウスに薄ベージュの膝下タイトスカート、それにジャケットを羽織っていましたが、それでもこの部屋は少し肌寒いと感じていました。
そんな私より遥かに薄着のお母様は、きっと寒いとお感じなのではないかと思ったのです。
「こんなこともあろうかと私はショールをいつも持ち歩いております。宜しければどうぞお使い下さい」
そういって私はショールをお母様の肩にまわしました。
お母様は何も言わずにショールをお召しくださいました。
「……ふむ。おぬしは聞きしに勝る気遣いっぷりじゃな。
「ありがとうございます。……───え?