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第41話 勉強は日々の積み重ねが大事

 別にタマちゃんの借金くらい立て替えてあげるのなんて簡単なくらいはお金を持っている。

 でも、それは例えタマちゃんであっても秘密にしている。

 ダービーでポチさんから貰った賞金も受け取らずに、ラビットさんに渡したことにしてもらって、二人からも了承を得ていた。

 そうでなければ、まだ弱い俺たちがどんなやっかいごとに巻き込まれるか分からないからだ。


 だから、今は冒険者としての収入をメインで生活を回すようにしている。


 なので――


「タマちゃんは俺が良いと言うまでは競ンバ禁止ね」


 これ以上は違う意味でやっかいごとに巻き込まれるからね。


「そんなあー!!」


「いや、そもそもやるお金無いでしょ?まだ借りるつもり?」


「今週こそ絶対に勝てるレースが――」


「絶対に禁止です!!」


 沼の中で抱く希望――それはただの妄想なのですよ。



「それはさておき――狩猟祭の申し込みはしたんだけど、俺は内容を全然知らないんだよね。タマちゃんが知ってることを教えてもらえる?」


「うぅ……はい」


 まだ落ち込んでるのか…。


「収穫祭は2週間に渡って行われるお祭りです。その間は国中から人が集まって、王都の街はとても賑わうんです。出店とかも凄いいっぱい出てて、競ンバ場では特別レースが――」


「あ、そこは良いから」


「はい……。それで、参加している冒険者の人たちが、どれだけ大物を狩れるかを競うんです」


「どの魔物が一番大物とかって分かるの?大体のランク付けはされてるけど、同じランクの魔物だったら同着になるの?」


「いえ、同じランクの魔物でも、その中で細かく順位が付けられているんですよ。あとはサイズとかで上下しますけど。それをギルドの人が審査して順位を決定します」


 なるほど。

 多少下の格付けの魔物でも、大物だと修正が入るわけね。


「でも、ほとんどの冒険者は、森の浅いところで低ランクの魔物を狩り続けて賞金を稼いでいるって感じですね」


 タマちゃんが狙ってたやつだな。

 そりゃあ報酬3倍は大きい。


「そんなのが多かったら、祭りが盛り上がらないんじゃないの?みんな大物を狩ってくるのを見たくて集まってるんでしょ?」


「ええ、でも優勝を狙うような人たちは、かなり奥まで行きますからね。帰ってくるのは期間ギリギリになるんです。だから、それまではみんな普通にお祭りを楽しんでますね」


 ああ、みんなそれは最初から分かってるのか。

 多分、出店を出している人たちもそのつもりで商売してるんだろうな。


「他にもいろいろ街では催し物がありますから、それを目当てに来る人も多いでしょうし」


「大体理解したんだけど、タマちゃんは狩猟祭でどうしたいの?雑魚を倒してお金稼ぎたい?それとも少しでも大物狙って奥に潜りたい?」


 流石にCランクのパーティーと張り合うのは無謀だが、他のEランクと同じ事をやるのもどうかと思う。

 実際、俺たちはレベル的にも能力的にも十分にDランクでも戦えると思っているから。

 出来る限り奥まで行って、魔物初ゲットといきたいところだ。


「私は……」


 タマちゃんも自分の実力は把握しているはずだから、俺と同じような考えを持っているはずだ。


「借金が返せればそれで良いです」


「じゃ、めっちゃ奥まで行こうね」


「え!?」


 こうして俺たちの狩猟祭での指標が決まった。




 狩猟祭まであと3日。

 俺たちはそれに備えるために、依頼を受けることなく準備に時間を費やした。

 とはいえ、タマちゃんは金欠の為、俺が立て替えるという形をとってだが。


 もちろん返してもらうつもりは無い。

 それでも、一応は貸しておくという形をとって、タマちゃんの借金癖を修正しようとしているのだ。


「タイセイさん!ありがとうございます!!大切に使いますね!!」


 うん。それはおごってもらった時のテンションだよね?

 俺、無駄な努力してる?


 とりあえず野営に必要な道具の準備とかポーションとか食料を買い込んで、一通りの準備は出来たと思う。

 まあ、足りなければ街に戻ってくれば良い話だしね。


 で、Eランクに上がってからどれだけ成長したかというと――



名前 園田 大勢 

職業 その他

レベル 22

HP    265/265

MP    185/185

力       国体   我慢 ほそマッチョ

頭    非常に弱い   器用さ 職人見習い

動き  ダンス甲子園       

買うもの   

キッチンペーパー ごま油 お部屋の消臭剤(詰め替え)

ペットシート 猫用おもちゃ


EXP    147/280


【固有スキル】

覚えることが出来ません

【スキル】

覚えることが出来ません。

【称号】

「マルマールの使徒」

(???)

「ダービージョッキー」

大舞台で全ての能力値を100%上昇する

条件:冒険者ランクと同ランクもしくは1ランク上の敵と対峙した時のみ発動。


【装備】

「鋼のロングソード」

「鋼の胸当て」

「鋼の肩当て」

「コモドオオワームの服」

【装備ステータス】

「その他」

【装備スキル】

「対物理防御(小)」(常時)「俊敏性上昇(小)」(常時)

「柔軟性上昇(小)」(常時)「対魔法耐性(小)」(常時)

「斬攻撃力上昇(小)」(常時)「疲労回復(小)」(常時)

「火属性魔法(中)」(任意)「土属性魔法(中)」(任意)



 ……人のステータスボードを買い物メモに使うのやめてもらっていいか?

 あと、こいつ猫拾ってきてるな。

 ちゃんと、最後まで面倒みるんだぞ?


 あれから「ダービージョッキー」の発動方法も判明した。

 ギルドで冒険者ランクが上がった時に――


『ギルドランクが上がったことによって、称号「ダービージョッキー」の発動条件が解放されました』


 とか、勿体ぶりやがって。

 最初から教えておいてくれたら、コモドオオワームの時だって無茶しなかったのにさ。


 スキルの「斬攻撃上昇」は剣とかでの攻撃の時だけ発動するらしいので、俺は本格的に剣メインの戦いをするようになった。

 でも、魔法も並行して使える。他の剣士職からしたら【魔法剣士】のように見えるので、誰かいるところでは魔法は使わないようにしている。

 上位職っぽいEランクとか目立って仕方ないだろうからね。


 あ、「疲労回復」は、別にHPが回復するとかじゃなくて、移動とかで疲れにくくなるってだけらしい。

 まあ、それでも今までは疲れてもHPが減っていたのが抑えられるだけマシだけど。


 それと、そろそろ「頭 非常に弱い」の部分にツッコミ入れていいか?

 ちゃんとここも上がれよ。

 みんなレベルアップしたら上がってるじゃん。 


『知能はレベルアップでは上がりません。ちゃんと勉強してください』


 なんで俺だけリアルなのだろう……。




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