「お嬢、いつでも行けやす!!」
「ありがとうございます!でも、少しだけ時間をください!」
「へい!!」
最早完全に下僕みたいになってしまったドワーフの人達に待ってもらい、私は念話を起動する。
アルシアさん達全員に届く様に魔力周波数を合わせて、私は回線を開いた。
「フェンリルさん、ニーザちゃん、アルシアさん、今そっちまで飛びます!!」
私が回線越しに呼び掛けると、最初に出てくれたのはアルシアさんだった。
『アリスか!戻ってくるのは分かったが………飛ぶ?』
「はい、ドワーフの方々にお願いして、カタパルトでそっちに飛ばしてもらいます。」
『また随分ぶっ飛んだ方法を………、まあいい。到着までの予想時間は?』
「予定では約5分です。」
その言葉を聞くと、アルシアさんは少し黙ったあと、思いついたように口を開いた。
『アリス、
「……?はい、使えますけど……でも、どうして……、」
『実は今2人が通信に出れないのは神力を練るのに集中してるのと、時限式の罠が起動してるのもあってな。ああ、罠って言っても2人は別に全然無事だから安心しろ?話もちゃんと聞いてるし。ただ、メインで神術を使えるのがもう一人欲しい。』
そう言って、アルシアさんはある作戦を話してくれた。
私はそれを聞いて頷く。
「分かりました。私は今から神術の準備をしながらそちらに行きます。なので、タイミングは……」
『それは妾とニーザに任せよ。よいな、ニーザ?』
『ええ、勿論よ。だからアリス。回線はこのまま開いて、準備だけしておいて。』
2人の声が聞けて、私は安心して大きな声で「はい!」と返す。
聞いてて分かってるとはいえ、無事で良かった。
私は聖杖と……
複数、それも神術まで並行して行っているのだから、身体が少し悲鳴を上げているけど、まだ全然行ける。
私はカタパルトの上で姿勢を直して、ドワーフの人達に声を掛けた。
「準備できました。ドワーフの皆さん、お願いします!!」
「了解!オメェら!お嬢をしっかり目的地へ飛ばせよ!!」
「お嬢の為に!!!」
「恥ずかしいから止めてくださいっ!!!」
同時に叫ぶドワーフの人達に思わず怒鳴ってしまった。
ついでに言うと、この会話は回線越しに聞かれてる。
アルシアさんは声で分かるくらいに「何があったんだ………」と驚いていたけど、それは放置しよう。
「カタパルト、出力上昇、発射角度調整、目標……、超巨大魔族………っ、お嬢!!」
「行きます!!」
ドワーフの人達にそう返すと同時に、凄まじい空気抵抗が私を襲い、アルシアさん達が待っている戦場へと飛ばされたのだった。