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第14話 「破壊神アルシア」


「破壊神、ね………。取り敢えず、今伝わってる伝承……その人魔戦争について詳しく教えてくれるか?」

「はい。まずは………」


アリスは現代に語り伝えられている、あの時の戦いを教わった通りに俺達に教えてくれた。

聞き終えて、俺は静かに一言だけ漏らす。


「………デタラメだな。」

「ああ。あやつがマグジール共に討たれて……という件はともかく、それ以外はまったくのデタラメじゃな。それに、気になる事が他に一つ出来た。」


俺の言葉に頷いたフェンリルは、その凪いだ瞳をアリスに向ける。


「アリス。一つ尋ねるのだが、あの魔族どもは初めからあそこに密集していたのか?」

「魔族ども?」

「ああ。この真上で中級までの魔族が暴れていた。アリスはそいつらとバフォロス相手に戦っておったのだ。あの魔族どもは恐らく、この平原に元々いたのだろうが……どうだ、アリスよ?」


「いえ、アレはお二人と、それからあちらのバフォロス……さん?から放たれた気配を感じた時に集まってきました。私はこの辺りで学校の課題で歩き回っていたので、間違いありません。」


「ふむ……。」とフェンリルは顎に手をやり、考え込む。


「たしかに妙だな……。」

「……強い気配に充てられて来たのではないのですか?フェンリルさんは高位魔族ですし。」

「たしかに、こいつは高位魔族だ。だが、上級から特級はともかく、中級魔族クラスまでは基本的に高位魔族に近づく様な真似はしない。」

「どうしてですか?」

「高位魔族と通常の魔族は敵同士だからだ。」


その言葉に、アリスは衝撃を受けたように固まる。

目覚めたばかりでいまいち事態を把握出来てないが、どうにも俺が思ってる以上の面倒ごとになってるのではないだろうか……。


「フェンリル。一度調べたほうがいいかもしれないな……。」

「うむ。まずは一番近い………アリス!!」


言い終える前に、何かに気付いたフェンリルは鋭い声でアリスの名を叫び、抱き寄せてからその場を離れる。


その直後、天井は大きな音を立てて崩れ去り、何かが降ってきた。

通常のトロールより巨大で、更に強い魔力。


「キングトロールか………。」

「ああ。だが妙じゃ。コイツの気配はまるで……」

「…………あの時の魔族と同じか、それに近い。」


バフォロスを使うか迷ったが、調べる事が出来たので、そのまま収納魔法に仕舞う。アレにはもしかしたら調

代わりに鎖を呼び出し、右腕に絡める。


「さて……、起きてすぐに戦闘か。」


その言葉を合図と言わんばかりに、鉈の様な鉄塊を持った巨大な魔族は咆哮をあげて俺に迫ってきた。

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