「おめでとう!この手帳を手にした君こそ、七不思議の謎を解くに相応しい!」
図書館の静寂を引き裂いたその一文が、私の心を深く貫いた。それはただの文字ではなかった。まるで、生きた意志そのものが時間を越えて、今ここで私だけに語りかけているように感じた。その温かな響きと力強さが、私の胸の奥に染み込み、祝福と期待をもって新たな冒険への扉を開こうとしていた。
手帳の表紙に指先を滑らせる。色あせた革の感触から、これまでの持ち主たちの想いが、手を通じて伝わってくるようだった。しっとりと馴染む革の重みが、これが単なる道具ではなく、過去の挑戦者たちの記憶と意志を受け継ぐものだと語りかけてくる。黄ばんだページの端に刻まれたシワは、幾度も触れられた証。それを指先で辿るたび、過去の挑戦者たちの重みが私の中に流れ込んでくるようだった。
ページをめくると、文字が静かに、しかし確かに私に語りかけてくる。
「私は、この時代の七不思議をすべて踏破した身として、次なる時代の七不思議を踏破するであろう後輩に向け、この手記を残す。この手帳は、君が七不思議に挑む決意を抱くならば、最後の一つに至るまでの道標となるだろう。」
その一言一言が、かつてこの道を歩んだ者の魂そのもののようだった。時を越えて滲む意志は、私の胸に強く入り込み、一種の誓いのように響く。この手帳を通じて、挑戦を終えた者が今もここに在り続け、知恵と真実を託そうとしている。その隔たりを超えた意志が、次なる挑戦者として私を選んだのだと確信させられた。
図書館の静けさがさらに深まり、私と手帳だけがこの空間に存在しているような感覚に包まれる。周囲の世界が薄れていき、手帳に刻まれた謎の世界だけが鮮やかに広がっていく。その未知なる知識と危険が織りなす物語が、私の胸を熱くする。
静かに深呼吸をすると、胸の奥で何かが目覚め始めているのを感じた。淡々と過ぎる授業や、孤独な図書館での時間では決して得られない、未知の冒険への高揚感。それが、この手帳と共に挑む七不思議の謎に向けた覚悟へと変わりつつあった。