私は好きなものだけを書いていて書きたくないテーマや展開には手を出していませんが、コンテストには応募しています。でも商業作家を目指しているからではありません。2022年11月に小説を投稿し始めて2年ほど経ち、自分の小説がどの程度ちゃんと書けているのか、コンテストに応募して確認したくなりました。
私は趣味で小説を楽しく書いているので、切磋琢磨しなくていいと思っていました。でも読者の皆さんから反応をいただくと嬉しいんですよね。そうすると、勝手に自分の好きなものだけ書いているにもかかわらず、読者の皆さんは拙作を楽しんで読んでくださっているだろうかという疑問や、楽しんで読んでもらいたいという欲が出てきました。だからそのためにもっとうまく小説を書きたいなと思って力試しのようなつもりでコンテストに出していました。
だけど自分の小説をよりよくしたいのなら、講評をもらえる公募に出すべきだと思うようになりました。そう思うようになったのは、カクヨムでとある創作論を読んでからです。
今まで私はタグ設定とか「コンテストに応募」ボタンにチェックを入れるだけで気軽に応募できるような小説投稿サイトのコンテストにのみ応募していたので、受賞作品以外は個別講評をもらえないことに慣れていました。でもその創作論を読んで、一次選考で落ちても希望を出せば講評をくれるコンテストもあると知り、驚きました。
その作者さんの経験によれば、講評の内容は今後の創作に役立つ真摯なものばかりではなく、あからさまに提灯記事みたいな誉め言葉ばかりが並ぶものからこき下ろしまで色々あるそうですので、公募は選ばないといけません。公募経験者のエッセイを読むと参考になりそうです。
1次選考を落ちても講評もしくはフィードバックをもらえるコンテストとしては、読者の皆様もご存知の通り、ネオページのNSP賞があります。応募して規定の3万字に達すれば、もれなくフィードバックをもらえます。コンテストページに「講評」でなく、「フィードバック」と書いてあるので、もしかしたら当たり障りのない感想かなと最初は引っ掛かりました。でも第1回NSP賞の最終結果にある選評を見ると、結構耳の痛い欠点も書いてあるので、応募全作に送ってくれるフィードバックも真摯な内容になるのではないかと期待していました。
2025年1月9日にいただいた第1回NSP賞応募作2作に対するフィードバックは、その期待通りでした。自分でも情景描写が苦手なのを分かっていたのですが、その点をやはり指摘されました。Nolaの「AI読者ネコのヨミスケ」が別作品にくれた感想にも共通していたのですが、時々説明が長い場面があってテンポが悪くなっているそうです。「エピソードを通じて状況を説明する」ように勧められましたが、どうやればうまくできるのか分かりませんので、「編集サポート」(下記参照)でその点を相談してみました。どんな返事が来るか楽しみです。
このフィードバックは、欠点を指摘するだけでなく、長所も見つけてくれています。ですので、これを読んで凹むことはなく、むしろ指摘された点を改善しようと思い、モチベーションをアップできました。
2025年2月26日現在、第4回NSP賞まで終了しており、新たなコンテストが開催されるかどうか発表されていませんが、何か企画中という噂は聞いています。編集部は大変でしょうが、次回のコンテストでも応募者全員には無理でも希望者にフィードバックをいただけると嬉しいです。
また、これはコンテストとは関係ありませんが、ネオページには「編集サポート」という機能があります。契約作家でなくとも、この機能を使って編集部に創作上の相談をできます。私は相談を送ったばかりでまだ返事待ちなので、実際にどんなアドバイスがもらえたのかとか、それが役に立ったのかどうかまだ何とも言えません。でも書籍化・メディア化したことがないと、編集のプロのアドバイスをもらえる機会は中々ないので、この機能は貴重です。
また、講評のもらえる次の3つのコンテストは応募経験がありませんが、できることなら挑戦してみたいです。
SBクリエイティブのラノベレーベル(GA文庫)のコンテスト「GA文庫大賞」でも、中間選考を突破しなくても希望すれば評価シートをもらえます。コンテストサイトでアカウントを作り、応募する際に評価シートを希望すると、一次選考終了後、選考に漏れた方から順次評価シートがコンテストサイトのマイページで閲覧可能になります。
GA文庫大賞
https://ga.sbcr.jp/novel/taisyo/
株式会社オーバーラップが主催する「オーバーラップ文庫大賞」では、全応募作品に評価シートをフィードバックしています。コンテストサイトにアカウントを作って応募すると、結果発表後、すぐに評価シートがマイページで閲覧可能になります。
オーバーラップ文庫大賞オンライン
https://over-lap.co.jp/bunko/award/
徳間書店のBL小説レーベルのキャラ文庫が開催した第2回キャラ文庫小説大賞の場合、中間選考を突破した作品は希望すれば個別選評を送ってもらえるそうです。次回の第3回キャラ文庫小説大賞ではどうなるか分かりませんが、引き続き中間選考突破した希望者には選評をいただけるのではないかと思います。
キャラ文庫小説大賞は、選評だけでなく、次回作へのアドバイス付きの懇切丁寧な総評や次回のコンテストに向けた質疑応答を公式サイトに載せています。とても親切なアドバイスなので、私もBL小説を書けるのなら応募したいぐらいです。
創刊25周年記念キャラ文庫小説大賞 結果発表(2023/6/22)
https://www.chara-info.net/news/36758/
第2回 キャラ文庫小説大賞 結果発表(総評&個別講評)(2024/7/1)
https://www.chara-info.net/news/44813/
第3回 キャラ文庫小説大賞 質問回答(2024/7/19)
https://www.chara-info.net/news/45419/
カクヨムコンテストでも(今回は無理だろうから次回からでも)せめて抽選でいいから、受賞作以外の講評を出してくれないかなと思いました。でも膨大な数の応募作が集まった前回のカクヨムコン9参加作品(長編部門12,309作、短編部門16,646作)の中から講評希望作を募ったら、大変そうなので、実現不可能だろうなと思います。
ところが、講評を受けたい過去のカクヨムコン応募作品を募って抽選で詳しい改善点を教えてくれた公式企画がありました! 欠点だけでなく、よかった点も書いてくれてあってこの企画で当選した作者さん達はきっと励みになっただろうと思います。
中には削除されてしまった作品もありますが、まだ公開されている作品を見れば、どのような文章や話の運び、キャラクターの造形などが運営に高く評価されているか、参考になりそうです。
私が見つけた限りでは、2017、2018、2020、2022年のカクヨムコン直前に講評企画が行われていました。2022年を最後に実施されていないので、来年のカクヨムコン11開始前に復活することを祈っています。
リンクを全部貼ると長くなるので、それぞれ第1回目の講評のページのリンクだけ貼っておきます。別の講評回のリンクも第1回目のページに載っているので、2回目以降も容易に見つけられるはずです。
おしえて改善点! カクヨムWeb小説コンテスト応募作品反省会!【第一回】(2017/11/27)※全4回計20作(~2017/11/3)
https://kakuyomu.jp/info/entry/webcon_proreview_pt1
【カクヨム小説創作オンライン講座】カクヨムコン歴代応募作品講評会 第1回(2018/10/22)※全5回計20作(~2018/10/26)
https://kakuyomu.jp/info/entry/wc4_rev_vol1
【カクヨム小説創作オンライン講座2020】カクヨムコン歴代応募作品講評会 第1回(2020/10/28)※全7回計30作(~2020/11/6)
https://kakuyomu.jp/info/entry/wc6_rev_vol1
カクヨムコン歴代応募作品講評会2022 第1回(2022/11/1)※全3回計9作品(~2022/11/6)
https://kakuyomu.jp/info/entry/webcon8_review_vol1
今年、私はKADOKAWAとムーンライトノベルズのタイアップコンテスト『2024eロマンスロイヤル大賞』に『傀儡妃は幼馴染の王太子をひたすら愛する』で応募し、一次選考だけ通過しましたが、もちろん講評はいただけませんでした。それでも一次選考通過自体初めてだったので、とても嬉しかったです。
このコンテスト応募作品はムーンライトノベルズとエブリスタに投稿しているR18版ですが、ネオページでもR15版を投稿しています。応募した第1回NSP賞には残念ながら落選してしまいましたが、読者の皆様の応援のおかげで読者チョイス賞(8位)をいただきました。ありがとうございます。
『傀儡妃は幼馴染の王太子をひたすら愛する』
https://www.neopage.com/book/30562730121508900
2024eロマンスロイヤル大賞の受賞作品は、10月8日に総評と受賞作品への選評と共に発表されました。
https://static.kadokawa.co.jp/promo/eromanceaward2024/2024result.html
何気なく2024eロマンスロイヤル大賞の総評を読んでガクブルしました。
「「eロマンスロイヤル」は大人女性が官能恋愛シーンを気持ちよく楽しめるレーベルを目指しておりますが、
上記の部分を何度も読み直して「こりゃ、私のことじゃん!」と思わず叫びそうになりました。私は、本作のアントンという脇役をどヘンタイクズ夫にしたかったので、ちょっぴり無理矢理場面とか、見られそうなスリルで盛り上がる(?)エッチシーン(ネオページでは当然のことながらR15範囲内の描写)を入れました。でもそういうのが好きな読者は、恋愛小説でほどほどの「官能恋愛シーンを気持ちよく楽し」むことが好きな読者よりも圧倒的に少ないでしょう。
「自分の書きたいものに意識が行き過ぎ」という言葉は実に耳に痛かったです。Web小説投稿サイトのコンテストは公募よりも簡単に応募できてしまうので、どうせ受賞しないだろうとは分かっていたものの、自分の性癖を詰めた作品でもどこまで通用するか力試ししたくて応募してきました。でもそんな甘っちょろい態度で応募するものじゃないですね。正に単なる記念受験状態でした。自分の性癖ごり押しの作品は趣味でやっているので、書籍化を目指すコンテストにはそぐわない――今回、やっと自覚しました。
だから今後は、レーベル(=レーベルの読者)が求めるものに合っていそうだと思えた作品だけを応募していこうかな、すべきかなと思ったりもします。最初はそうすべきと思ったんですけど、投稿サイトのコンテストでは講評をもらえないんですよね。それなら撃沈覚悟で応募してもいいものなのか。やっぱり迷います。でも講評をもらえる公募に応募するなら、こちらも礼儀を守ってレーベルに合わせた作品を応募するつもりです。
次回の『物書き徒然日記』では、KADOKAWAのBL小説レーベルである角川ルビー文庫のコンテストを例にとり、レーベルの求めるもの(この例では挿入ありのエロ)を盛り込まなくても作品の質さえよければ、コンテストで受賞できるかどうか考察します。ただし、私自身には公募に応募した経験がないので、カクヨムで公開されている他の作者の方々の経験談を参考にします。