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第7話

 それから数日、雨の日が続いた。


 部活は室内に移動し、筋トレ中心のものになった。もちろん、空港での自主練習も休むしかない。

 ろくに走ることができなくて、気ばかりはやるがどうしようもない。自分をなだめながら、とにかく室内でできる基礎練習を繰り返す。


 雨天は問答雲のせいかもしれないと思うと、そのたびに、空港へ向かう先輩の後姿が思い出された。


 あの日はあれきり、会えずじまいだった相原先輩。

 きっと急用でもできて、私の知らないうちに本を取りに来て帰ったのだろう。


 どこか釈然としないけれど、考えすぎると練習の邪魔になるので、あえてそう自分に言い聞かせる。


 大会まではあと二週間。それまでに、どこまで記録を伸ばせるだろう。


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