ふと、
──少しはしゃぎすぎたかしら。でも。
たまには個別に行動するのもいいかもしれないと思い、向き直ろうとしたその時だった。
──あれは⁉
一見何の変哲も無い祭りの雑踏の中に 、明らかに場にそぐわない白装束の男が数名紛れているのに気づいた。
その白装束の男たちは、まっすぐに彼女たちの方へと人ごみを掻き分けてやって来る。
──
「
彼女の手を取り、雑踏の中を駆け出した。
「
「理由は後で。今はこの場を離れましょう」
戸惑う
彼女の安全を考えるのならば、自分ひとりだけ離れればよいのかもしれない。しかし、かつて
何度も通行人にぶつかりそうになり、その度にごめんなさいと謝辞を残す。
これだけ目立てば
そう思ったがすぐに
しかし、
「こちらへ参りましょう!」
仕方なく
やがて視界が開けて光が濃くなる。
ここを抜けたらまた別の脇道へ入って彼らをまこう。
しかし、そんな
細い路地を抜けたそこは、四方を壁で囲った袋小路だったのだ。
「しまった!」
そう言って振り返ると、先ほどの細い路地から白装束の男たちが現れ、すぐに取り囲まれてしまう。
彼らは五人。
「紅い髪。お前が
ひとりの男が確認するように問うと、その返答を待たずして腰に帯びた剣を抜く。それを合図に、他の者たちも剣を一斉に抜く。
──また、
出来ることならもう使いたくはない、人智を超えた力。しかし、無関係な少女に危害が及ぶのだけは何としても忌避しなければならなかった。
「
冷徹な声が、狭い空間に響く。
その時、
まず、彼らの出で立ちは確かに白装束だが、そこに【
──彼らは【
しかし、そうなるといったい誰が
と、その時であった。
先ほどまで後ろにいた
「控えよ! お前たちは誰に剣を向けているのかわかっているのか⁉」
少年の如く雄々しき声で叫んだ。
突然のことに
「大方、父君の命で
「お前──
まじまじと
「私が誰なのか理解したようだな。早急にここを立ち去るのならば此度の非礼は不問にしてやろう。それとも、私共々
得も言われぬ圧力のこもった少女の言葉に、男たちはそそくさと剣を納め、一礼を残して風のようにその場を去って行くのだった。