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“中華大陸一の雅”と称され、都人の優雅な歩き方を真似るために他国人が訪れるほどであったが、戦を好む
昨年の初秋にも訪れたことがあるその街中を、
「そういえば、
「……本当に、そうですね」
露店が多く立ち並ぶ中央通りの
「戦に使うための鉄と
「本当にあの時は驚きました。正直、
「そうです。お姉様の奮闘振りは、きっと中華大陸中に響き渡るはずです。何せ、あの
先導する兵士が、渋い顔で彼女たちを
「ですが、わたしは【
実際、彼女の胸に達成感は微塵も無く、ただ、心にぽっかりと穴が開いてしまったかのような、そんな喪失感と虚無感だけが支配するのだった。
そんな彼女の気持ちを何となく察した
「それでは、正式な通達があるまではこちらをお使いください」
そう言って兵士たちに案内された場所は、宮殿よりかなり離れた一郭に佇む、一軒のみすぼらし家だった。
「こんなあばら家に住めと言うのか? せめて
「はい。ただいま空き家が不足しておりますゆえ、こちらで我慢していただきたい」
しかし、と言ってごねる
「いいではありませんか。みなさんとご一緒出来るのですから、これ以上望むものはございません」
「姉上がそうおっしゃるのなら」
「それでは、後ほど小間使いの者が参りますので、何かありましたらその者にお申しつけください」
案内役の兵士は事務的な口調で言うと、結局最後まで
「無礼なヤツめ」
その後ろ姿に向けて、
「仕方ありません。つい数日前までは敵同士だったのですから」
しかし、これが
以前に停戦交渉のために
それでも、
これまで国の存続のみに腐心してきた彼女にとって、今のように何をすればいいのかわからない状況下で、とりあえず大切な仲間と穏やかな時を過ごすのはいいことなのかもしれない。そう感じて。