「──さま。が…きお姉…ま」
甘い
「……ん」
ゆっくりと覚醒する
「
寝ぼけ
「この毛布……
「ええ。だいぶ暖かくなってきたとはいえ、夜はまだ冷えますから。風邪など召されぬよう、ご自愛くださいませ」
「すみません。ありがとうございます」
外に目を向けると、透き通るような青の色彩が広がっている。
「今日も暖かくていい天気ですね。外を散歩したくなりますわ」
もちろん、砦から少し離れた山の中腹には【
「そういえば昔を思い出しますね。丁度今くらいの時期、お姉様と二人で
「ええ、そうでしたわね。結局、霧が晴れるまで身動きが取れなくて。後で父上や大人の方たちが心配して迎えに来てくださったのですよね」
「ホントに、あの時はいつもの通い慣れた場所がまるで異世界のように感じられて、怖かった思い出があります」
二人は昔話に花を咲かせる。
その刹那、
「そうです、霧ですよ! 霧が発生する時間帯をあらかじめ予期できれば、敵の本陣に奇襲出来ます‼」
突然のことに動揺した
「
男は名乗った。
「ご苦労様です。アナタは気象の先読みが出来るそうですが、本当ですか?」
「先読みと呼べるほどのものではありませんが……。オイラは昔から空を見上げるのが好きで、雲の動きや湿度の変化からある程度の天気の予測が出来るようになりました」
「それでは、霧が発生する条件などもお分かりですか?」
「はい。霧は、大気が急激に冷えて湿気が多くなると発生しやすくなる傾向にあるようです」
「なるほど……。それで、先読みが的中する確率は
「そうですね……およそ、七割といったところでしょうか」
「七割……」
それだけあれば、すべてを賭けるのに充分だと思った。
「それで、近い内に霧が発生するとすれば、いつくらいになるでしょうか?」
「そうですね。過去の経験から推測すると恐らく……明後日の未明あたりかと」