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 ダンジョン深き岩の洞窟に、アーロンはアミューズメントパーク的なものを作ろうと思っていたのだが、深き岩の洞窟では、岩を中心とした内部構成しか作れないという制限があり、断念した。

 アーロンは一階部分を全てセーフティエリアにし、青の洞窟っぽい感じにした。地底湖を灯石(この世界にある石。アーロンが作った)でライトアップし、青の洞窟に近づけている。

 2階層からはダンジョンだが、ダンジョンの魔物には冒険者を殺さないように命令がされているのと、冒険者が怪我をした場合はダンジョン内に所狭しと設置されている隠し転移魔法陣で新領主館前に戻るようになっている。

 万が一、怪我以外で死にそうになっている者がいる場合も新領主館前に転移する。

 ダンジョン内では死なない設定になっている。しかも、5階層毎にセーフティエリアに休憩所が設けられ、ダンジョンショップ(ダンジョンでドロップするダンジョンコインで買い物ができる無人店舗)まである。

 ダンジョンショップや休憩所はダンジョンの機能一覧にはあったが、元々の深き岩の洞窟には実装されていない。恐らく、他のダンジョンにも実装されていないだろう。

 つまり、深き岩の洞窟が初実装ということだ。

 深き岩の洞窟の最下層のダンジョンボスを倒した報酬はアーロンと同じく1つのスキルとダイアモンドの原石、アダマンタイトの鉱石という設定にしてある。

 ダンジョンを改造しても長年貯まったダンジョンポイント(貯まる条件は、誰も訪れないダンジョン。他にも貯まる条件は色々ある)が残っていたので、アーロンは自身の為に使った。

 深き岩の洞窟で取得できるスキルを全て取得したのだ。

 とは言っても、索敵以外で取得できるのは、隠蔽と偽装くらいだが。

 アーロンはロベルトとソフィアにヴァルトにあるダンジョンが、怪我はしてもダンジョン内では死なない様になった、というか作り変えたと伝えた。

 ロベルトとソフィアは実際にダンジョンに入り、理解した。


「ぼく、ここをチュートリアルダンジョンにしたいと思う」

「チュートリアルダンジョン?」

「初心者冒険者でも練習できてレベルも上げられるダンジョンだから、戦い方を勉強する為のダンジョンとして」

「それは、良いことよ、でも、アーロン。もし、貴方に危害が及んでしまったら、どうするの」

「大丈夫だよ、母上。精霊王と契約もしたし、スノウもいるし、リートもいるし、最近私兵の指導とか忙しそうだけどヒューバートもいるし」


 私兵はヒューバートのみではなくなっていた。新米傭兵などを引き抜き、ヴァルト私兵団ができている。


「……そうね、分かったわ。隠すのは止めましょう」

「母上!ありが」

「アーロンに手が出せないくらい畏怖させましょう」

「……Why?」


 思わず英語が出てしまったアーロン。


「そうと決まれば、母は父と一緒に暗躍したいから、これで失礼するわね」

「ま、待って!?暗躍?畏怖って何?」


 ソフィアはロベルトを物凄い勢いで引っ張って帰っていった。

 アーロンは嫌な予感しかしなかった。


「スノウ」


 くぅん?とスノウはアーロンに撫でられ狼吸いされながら鳴いた。


「お前だけが、ぼくの癒しだよ……」


 どこか哀愁漂う主人の雰囲気。

 スノウは、慰めるように主人の頭にぽんと前足を乗せた。





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