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 4歳になったアーロンは誕生日プレゼントとしてヴァルトダンジョンに潜る許可を貰って、ヴァルトダンジョンに来ていた。

 リートと女好きのマーク(元Bランク冒険者)を連れて、アーロンはがんがんダンジョンを攻略し、今は深層にいる。


「アーロン様ぁ」


 マークが情けない声でアーロンを呼んだ。


「なに?マーク」


 浮遊する椅子に乗ったまま攻撃の手を緩めずにアーロンは返事をする。


「俺って、いらないんじゃ?」


 背後からやってくる魔物を精霊術で難なく屠るリートを見遣り、そう言った。


「念の為だよ。罠とかあるでしょ?」

「アーロン様の場合、浮いてますから、引っ掛かりませんよね?リートさんも勘が鋭いですし、俺が一番引っ掛かりそうで怖いんすけど」

「まあまあ、経験豊富な冒険者だし」

「俺、こんなに強そうな魔物を倒せる自信ないっす」

「……うん、ごめんね?」


 返答に窮したアーロンは、とりあえず、疑問形だが謝った。


「……いいっす、俺、2人の影でぶるぶる震えてますから」


 マークはしくしくと嘘泣きしつつ、アーロンについていった。

 アーロン一行はあっという間に最下層までやってきた。

 最下層にはダンジョンボス【まつろわぬ者】岩人形の王ゴーレムキングと多くのゴーレムがいた。

 アーロンはダンジョンボスとゴーレムたちの核──赤い水晶っぽいものを石の王のスキルの1つ【石消去】で消し去った。


[ダンジョン【深き岩の洞窟】を攻略しました。報酬としてスキル【索敵】、アイテム【ダイアモンドの原石】【アダマンタイトの鉱石】を贈ります]


 ガイドとは違うホログラムウインドウが現れた。


[地下にダンジョンコアがあります。支配下に治めることをおすすめします]


 ガイドからの勧めで、アーロンは【石消去】で床の一部を消し去り、地下に降りた。

 白い部屋がある。中央には台座とダンジョンコアらしき透明な水晶が浮かんでいた。

 アーロンはダンジョンコアに触れた。


[外部からの接触を確認。省マナモードを解除します]

[解除中……解除中……解除完了しました]

[おはようございます。二神の仔羊……おや、どうやら貴方は選ばれし者のようですね]

[二神より、貴方に伝言です。『全てのダンジョンを支配下に治めよ』とのこと。まずは、【深き岩の洞窟】を管理しております、私──コアAR11475から貴方様の支配下に入らせていただきます。選ばれし貴方様のお名前は?]


 ダンジョンコアを支配下に治めることはガイドにも勧められているので、抵抗はなかった。


「アーロン・フォン・シュタイン」

[ありがとうございます。パスを繋ぎます]


 ダンジョンコアとアーロンの間に光でできた糸のようなものが繋がって消えた。


[できました。主様。私に名前を付けて下さい]

「ペトラで」

[古代の言葉で岩という意味ですね。大変素晴らしい。気に入りました。ありがとうございます、主様]

「ペトラは何ができるの?」

[ダンジョンに関わることなら何でもできます]

「詳しく教えて欲しいな」


 アーロンはペトラから色々な話を聞き出し、今後のダンジョン運営について構想を練った。





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