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「アーロン、こっちにおいで」

「はい、父上」


 ロベルトに呼ばれたアーロンは、とたとたと三人の元にやってきた。


「オズワルド殿、この子はくだんの私の息子のアーロンです」

「ほう、そうなのですね。アーロン君、儂はオズワルド・フィールド。七賢者の第五位、大地の称号を持っておる。よろしく頼む」


 アーロンは七賢者の1人が目の前にいることに驚き、目を丸くしたが、すぐに右手を胸に当てて、礼をする。


「アーロン・フォン・シュタインと申します。よろしくお願い致します」


 オズワルドは子供らしからぬ礼儀の良さに目を見張ったが、すぐに楽しげな笑みに変わった。


「これはこれは、丁寧な挨拶をありがとう。将来有望そうな幼子で、今から楽しみじゃのう」

「ありがとうございます。賢者様」

「ふぉっふぉっふぉっ、儂はお前さんの師匠じゃから、師匠と呼びなさい」

「師匠……?」

「アーロン、お前さんの才能に興味があるのじゃ、少しの間、お前さんの師匠を勤めるが、ついて来れるかのぅ?」

「……はい!師匠!」


 あの有名な賢者の一人が自分の師匠になってくれるのだと理解したアーロンは笑顔で頷いた。

 まず、オズワルドはアーロンの実力を確かめる為、魔法で魔物を倒すようにと言った。

 アーロンはオズワルドを連れてヴァルト森に向かった。

 ヴァルト森には凶悪な魔物がうようよしている。

 実力を示すにはもってこいだとアーロンは思った。

 森に入ると早速、赤い肌の鬼のような巨大な怪物が現れる。

 黒い模様が身体に刻まれたその鬼の名は、


「なんと、……ブラッディオーガキングだと」


 ブラッディオーガキングは災害級の魔物で、賢者でも手古摺るくらいに強いと言われている。


「邪魔」


 アーロンが指を鳴らすと空から激しい雷が落ち、ブラッディオーガキングを貫いた。


 この現象のトリックは、雷属性の魔力にある。

 魔力にはそれぞれの属性を纏わせることができる。

 アーロンが行ったことは、自身の魔力と体外にある空気中に漂う魔力を合わせて巨大な魔力を作って雷属性を持たせ、ブラッディオーガキングに現象として発生した雷を指パッチンしてから落とした。


 『雷鳴トールの研究書合本』を読んだだけで雷属性魔法を覚えていたアーロンは、そのような応用というか使用法を身に付けていた。

 ブラッディオーガキングは跡形もなく消えた。大きな魔石が残っている。

 アーロンは魔石だけ回収して、青褪めたオズワルドを見上げた。


「師匠、行こう」


 このとき、オズワルドは幼いこの子供がまるで魔王のように見えたという。

 その日、賢者オズワルドの恐怖に満ちた悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか。




「今日は師匠ができて、いっぱい魔物を倒して認めて貰ったし、楽しかったなぁ」


 アーロンはベッドに横になりつつ、ニヨニヨしていた。


「久々にステータスを確認しよっかな」


 アーロンは腕輪を使ってステータスウインドウを開いた。




アーロン・フォン・シュタイン 人族レベル52 男 3歳

スキル︰剣の才 弓の才 風の適性 水の適性 光の適性 風属性魔法 水属性魔法 光属性魔法 雷属性魔法 魔力感知 魔力操作

固有スキル︰石の王

シークレットスキル︰ガイド


従魔︰スノウ


装備︰絶対防御の首飾り


絶対防御の首飾り︰一定の状態異常無効。一定のダメージを全て防ぐ結界を張る首飾り。防げる一定の状態異常は千回分。ダメージはドラゴンブレス100回分程。どちらかが切れるとヒビが入る。二つの効果が切れるとこの首飾りは壊れる。




「魔法って不思議だな〜、適性なくても覚えられるの……でも、他のスキルも覚えようとすれば覚えられるのかも」


 可能性は無限大だな、とアーロンは呟きつつ、目を閉じた。





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