「うっ……うわぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ!?」
「おはよう、名倉くん! いい天気だね!!」
目の前に現れた人物に対する驚きのあまり、僕はベッドから滑り落ちる。
するとドアの向こうから、猛スピードで階段を駆け上がってくる音がする。
「光ーっ!? すごい悲鳴と音がしたけど、大丈夫!?」
そう言って木刀を片手に持った蛍姉さんが、ドアを勢いよく開けた。
「ね、姉さん!?」
「えっ、お姉さん!?」
僕はどこから何をどう説明するか戸惑っている一方、元凶である人物は――――。
「あっ! 名倉くんのお姉さんですか!? 初めまして、私『
「何言ってんの!? そんな予定ないからな!?」
戸惑う姉さんをよそに、灯山の口は止まる様子は無い。
「えぇー!? 私いぃぃぃぃっっっつも! 名倉くんの愛の告白待ってたのにぃ!」
「はぁ!? 誰がお前にそんなことするか!」
「ひどーい! ねぇ義姉さん聞きました!? 名倉くんってばこんなに可愛い女の子に、恥をかかせようとしてますよ! 私悲しくて泣いちゃいそう、えーん!」
「ひ、光……?」
そう言って、泣くふりをし始める灯山。僕は必死に、姉さんへ弁解を試みる。
「ね、姉さん! 違うんだこれは……!」
「貴方……さっきからずっと、一人で何をしてるの……?」
「えっ……?」
姉さんの言葉に、僕は灯山へと首を向ける。
すると灯山は、コツンと軽く自分の頭を叩くと……。
「そういえば私、幽霊だった☆」
灯山は「テヘペロ☆」と舌を出しながら、僕にそう返した。
「は……?」
――――――そうだ、そうだった……。
「光っ!?」
「名倉くん!?」
さっきまで近くにいたはずの二人の声が、なんだか遠のく。
それと同時に、僕は冷静にあることを思い出す。
――――――灯山はもう……。