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第七話 【目覚めの人物】

 【20××年 7月15日】



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 ――――……ピッ、ピピッ、ピピピピピ……――――


「…………んっ……」


 かけていた目覚まし時計の音と共に、カーテンから漏れる朝日が僕を覚醒へと促す。


「…………ん、ん〜っ」

「………………! ………………!」


 目覚まし時計を止めようと手を伸ばしていると、ふと誰かの話し声が聞こえてきた気がする。


 ――――姉さんが外で、ご近所さんと話でもしてるのかな……?


 いや。それにしては、やけに近くで聞こえる気がする。


「…………ん……! ……こ……! …………し!」


 寝ぼけているせいか、何を言っているのかはよく聞こえない。

 分かるのは、ものすごく聞き覚えのある声だ。


「ん……ん〜ん……?」


 なかなか目覚まし時計らしき物に手が当たらず、置いてあるはずの場所を何度も手探りする。


「…………くん! もう…………し!」


 少しずつ目が覚めてきたのか、言葉がはっきりと聞こえ始める。


「……名倉くん! もう少し! もう少し! そう、そこだよ!!」

「…………ん?」


 僕は目覚まし時計を止めると同時に、完全に目が覚める。


 ――――……いや、でもまさか……だって、この声は……!


 慌てて枕元に置いていた眼鏡をかけ、声の主の方へと振り向く。


 そこに居たのは――――。


「やったー! さっすが、名倉くん! カッコイイー!」

「うっ……うわぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ!?」


 驚きのあまり、僕は叫びながらベッドから滑り落ちる。


「あ、おはよう! 名倉くん! いい天気だね!!」




 そんな僕とは裏腹に、声の主……は元気にそう言うのだった。

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