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昼休みの教室。
窓際のカーテンが風に吹かれ、優しく揺れる。
僕はすごく眠くて机に突っ伏していると、誰かが前の席に座る。
僕の前の席に座った人物の顔は、眠気と揺れるカーテンのせいで見えない。
だけどそこに誰が座っているのか、不思議と分かった。
眠たい僕に、そいつはずっと一方的に語りかける。
いつもの僕なら「五月蝿い」とか「寝かしてくれ」だのと返して軽くあしらうが、今はこの声が恋しくて心地よくて……ずっと聞いていたかった。
『ねぇ名倉くん。名倉くんにとって××××は――――』
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「……はっ!?」
僕の目覚めとともに、全身に激痛が走る。
痛みで浅い呼吸を何度も繰り返しながら、自分の身に何が起きたのかを思い出す。
――――疲れて近くの木に寄りかかろうとして、手を伸ばしたら……。
自分が滑り落ちてきたと思われる斜面を見る。
ここから見た感じからして、大きな石や枝による大きな怪我はなさそうだ。それどころか、落ちた際に折れた小さな枝や葉などがクッションの代わりになってくれたのだろう。
僕は落ち着いてきた呼吸を整えながら、日が落ち始めた空を見る。
「いっ、たたた……今、何時だ……? どれくらい眠って……」
――――ピチャッ……――――
どこからか水の音が聞こえる。
「水……? まさか……っ!」
痛みを押し殺しながら、僕は音のする方へと走る。
茂みをかき分けた先にあったのは――――!!
「これが……『
暗い森に広がる……幻想的な泉だった。