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第12話 夫との出会い①

 暗い話が続いたので、今回は恋愛の話をしようと思う。


 今までの人生で、私のモテ期は三回訪れた。一度目は十七歳。二度目は十九歳。三度目は二十四歳だ。


 私は既婚者(子無し)なのだが、人生で彼氏は一人しかできたことがない。――そう。その彼氏とは、現在の夫である。


 有り難いことに異性にモテることはモテたのだが、『ストレスとプロレス』で書いたように、私は父親の影響で男性恐怖症気味になっていた。


 漫画やアニメで恋愛ものを見るのは好きだったし、高校生の頃には腐女子として目覚めていたので、男性同士の恋愛にも興味津々だった。


 しかし、ドラマや映画の恋愛ものには忌避感を覚え、セックスシーンなんかとてもじゃないが見ることができなかったのだ(TLやBLの漫画と小説に限り、ガン見する)。そんな私が異性と付き合える筈もなく、「好きだなぁ〜」と思う相手ができても、いざそういう雰囲気になると気持ち悪くなってしまい、疎遠になってしまうということがざらにあった。


「彼氏なんかいらん! 現実の恋愛なんか汚らしいし、BL読んどる方がよっぽど幸せじゃもん! 恋愛は乙女ゲームの主人公カップルを見守ってるだけで十分たのしいんじゃけえ!」


 ――私は結婚しない。子どももいらない。一生独り身で生きていくのだ!


 そう豪語していた私だったが、十九歳の夏に、運命の相手――夫に出会うことになる。


 私はとあることがきっかけで、歯科衛生士専門学校生の十九歳の時に、初めて家出をした。手に持って出たのはガラケーだけ。財布は……なかったように思う。とにかく、ギャン泣きしながら、着の身着のまま家を飛び出したのだった。


 それからいろいろあって、私は一人暮らしを始めることになった。家賃光熱費は外祖母が支払ってくれ、あとは自力でなんとかせい! というものだった。いやいや無理がありすぎる! うちの親は仕送りすらしたくないっていうのか!?


 専門学校の授業は、月曜日から金曜日の朝九時から夕方四時までみっちりとあるのだ(もちろん、掃除の時間もね!)。実技試験の練習や課題提出もあって一日の時間が二十四時間じゃあ足りないのに、バイトばっかりできないし、数時間働くだけで何万円も稼げるわけがない。


 だが結局私は、たった月二万円の給料でも、実家で暮らすよりマシ。と考え、専門学校とアパートの間に位置する『中古本屋さん』でバイトをすることになった。


 有り難いことに面接の場で即採用してもらった私は、その日、バイトに来ていた夜の勤務メンバーを紹介してもらった。正直、眼鏡をかけたモサ男と下顎前突症のお兄さんという印象しか受けなかった。この日、女性店員は休みだったらしい。


 しかしその翌日、学校が終わってからすぐに出勤すると、めちゃくちゃカッコイイイケメンが夜メン(夕方から深夜閉店までのメンバーのこと)の中にいたのである! 私は、「はぁん! かっこいい……!」とメロメロになっていたのだが、実はこの男、面接の日に会った眼鏡をかけたモサ男だったのだ! コンタクトと髪型で、人ってこんなに変わるんだぁ〜と思った瞬間である。

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