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第9話 サンタクロース

 皆さんは、何歳頃まで『サンタクロースはいる』と信じていただろうか? ちなみに私は一度も信じたことがない。何故なら父に、「サンタさんはパパじゃけえ」と言われたからである。そもそも、田舎に住んでいた頃から、クリスマスプレゼントなんてものを貰ったことはなかった……気がする。もし貰っていたとしたらごめんね、じーちゃん、ばーちゃん。


 さて、話は戻るが、『サンタさんはいないよ』と言っておきながら、人生で1度だけ、枕元にプレゼントが置いてあったことがある。中身は、◯カちゃんのお風呂セットだった。……私は子供ながらに思った。何故、◯カちゃん人形なのだろうか? と。私は一度も欲しいと思ったことがないし、ねだったこともない。何故、◯カちゃん人形……? これは未だに解決していない、未解決問題である。そして次に思ったことがある。それは、「サンタさんからのプレゼントだぁ〜! やったぁ〜!」の台詞を言いに行かなければならないのか? である。


 時間が前後しているのだが、今回の話は、弟が生まれる前の話だ。まだ母とぎこちない関係だった私は、その当時、母に好かれたくて仕方がない子供だった。そんな私が導き出した答えとは?


「ママ〜見てぇ〜! サンタさんが、◯カちゃんくれたぁ〜! やったぁ〜!」


 と、母の元へスキップして行ってみた。である。


 正直、今思い出しても恥ずかしくてたまらない。当時の私(4歳)も、恥ずかしくてたまらなかった。


 だが、こういう反応で間違ってはいないはずだ。何故ならば、前日にあった保育園のクリスマス会で、サンタの格好をした男の人(誰かは知らん)が現れた瞬間、同級生たちがそういって喜んでいたからだ。


 私はドキドキしながら母の反応を待った。すると母は、


「アナちゃん、よかったねぇ〜! いつもええ子にしとるからじゃねぇ〜」


 と行ってくれた。


 アナマチア、心の中でガッツポーズである。


 しかし、これが来年もあるのか……と、げっそりした私だったが、その心配は杞憂に終わる。この◯カちゃん人形が、私がサンタさんから貰った、最初で最後のクリスマスプレゼントだったからだ。


 だが何故か、弟はサンタさんを信じ続けた。欲しいものを書いた手紙まで用意していた! 何故ならば、父と母は、弟にはサンタさんはいる! と教えていたからだ。扱いが違いすぎる……何故だ……未だにわからない……。そして私は優しいお姉ちゃんなので、『サンタさんはいない』とは言わなかった。弟が真実に気づくまで、ひたすらお口にチャックである。


 ……私、泣いてもいいかな?

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