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歯医者は戦場である

 突然だが、最近の通院を振り返ってみる。心療内科にも通院はしているが何ヶ月に一回だ。


 むしろそれよりも圧倒的に多いのは歯医者だ。最近のルーティンは「歯医者です」として答えてしまいそうだ、そのくらい常連には違いない。待合室では文庫本を持っていき読書タイム。


 ちなみに今日のお友は写真のついた詩集。軽い気持ちで読めるちょうどいい塩梅のため、結構早めに読了しました。風景写真に癒されます。これから戦場へと向かう私には心強い本だった。


 ――ありがとう。君のことは忘れない。


 もはや敗者のセリフである。


 いざ、いよいよ名前を呼ばれ戦場へ行った時に、まず最初に受けた試練は口内の写真。何やら加えて撮るのですが、それが勿論きつい。もう無理だ……って颯爽と戦意喪失。かと言ってまだまだ序盤だ。


 次はいよいよ本題の、虫歯治療。


 前々から「神経に近いとこまでいってる」とか「大きい虫歯」だとか不穏な発言を聞いていたので、内心気が気じゃない。でも、「削ってみないとわからない」って言ってたしな……と薄氷よりも薄い淡い期待を持っていた。削る瞬間までは。


 麻酔も万端。


 そして削り始める――が!


 もはや痛いどこじゃない。地獄だ。すぐ手をあげて、追加の麻酔で無事、何とか終わった。


 今日が一番地獄だったかもしれない。


 大人だしなとか何とか、変なプライドが一瞬頭を過ぎるも本当に刹那だ。


 大人だって歯医者はこわい。


 そして来週もまた行きます。


 本はまさに友である、とより痛感した日だった。

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