ふとした瞬間に夏の記憶の欠片に触れることがある。意識せずとも心に深く綴ってある日記、のようなものかもしれない。
中学時代。数少ない気の知れた友達と信号のある交差点近くで待ち合わせして、自転車で図書館へよく行った。暑くても中のエアコンの冷気で生き返って、涼も取りつつ本を探す。お目当ての本があるという風もなく冒険譚のようなものだ。
私はよく児童書を見ていた。文庫本も。
今も鮮明に覚えてる。「緑のアルダ」に「はるかな空の東クリスタライアの伝説」。他にも読んだものはあるけど、この二つに思入れが深い。やっぱりファンタジーはいいなあと思わせてくれた。
夏と図書館は、永遠に色褪せないイメージ。
「少年陰陽師」もあの頃はよく読んでた。朱雀と天一が推しで、色々集めてた。懐かしい。
夢中になって物語を楽しめるって幸せだ。
物語の世界の旅人になるって贅沢な時間の使い方かもしれない。
外出が苦手でもいろんな場所へ、気にしないで旅できる。そう思うと案外悪くないなって思えるんだ。少しだけネガティブな気持ちも穏やかになる。
猫と戯れながら日々悩む。
ここからたくさんの作家さんと読者さんと――夢を見られたらいいな。綴り続けていれば誰かの目に、心に、留まることだってあるんだって。ひとつの“居場所”として。
本当にそうなれたらいい。
また別の話でお話できたらいいな。