日常の風景にはいつも本屋さんがあった。自転車、徒歩で行けるくらいの距離に学生時代は存在していた。その後も在ったように思うが、記憶は曖昧だ。そこは家族経営だったお店で、おばさんとお姉さんには特にお世話になったかもしれない。
よく「灯夏ちゃん」と呼んでくれた。
りぼんやなかよしと呼ばれるコミック雑誌を買うのが定番だった。好きな先生の連載を読むのが楽しみで、毎月そわそわしてた。ゲームよりその頃は、漫画が一番だった。
小説、料理本、児童書――色んな本を見て回った。テーマパークより私はこっちの方が好きだ。ポケット辞書の国語辞典をここで買って、ポケモンのミュウのシールを貼って大切にしてたな。
ぱらぱらめくって。
異国の言葉を識る。
異国を旅しているような、美しい言葉を探しているような、そんな旅路。
言葉をたどるのも綴るのもすべて愛おしい。
下手上手より、個性好みでいい。
自由で、壮大で。
異世界の香りがする本屋さんへ、航海へ出てみよう。