六十、これしかなかった
これしか思いつかなかった。いくら夜明けの時間でも都庁に突っ込んだら多数の犠牲者が出る。咲苗は看護師の女に突撃して、彼女がバランスを崩した隙に例のものを奪った。使いかたなんてよくわからないけれど、思い切り引っ張って、そして、ヘリコプターの床に勢いよく叩きつけた。
さようなら。生きたいと思った。娘を巻き込みたくなかった。自由が欲しかった。鷹が好きだった。明日花を愛していた。でもこれしかなかった。
僅かな時間、たくさんの思い出が頭をよぎった。