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五十四、大混乱

五十四、大混乱


 オペの途中に無線連絡が入った。誰かと思ったら虎だった。


 今、事務所のパソコンで本島の人間と会話しているそうで、その状況を伝えるとのことだった。


 悲惨な報告に薊は愕然とした。頭がおかしくなってしまいそうだ。


『東京都港区にある、九十九晶の実家が爆発、炎上して周囲の家も巻き込んでいる』

『東京都杉並区にある、生田ほまれ 死刑囚の実家マンションが爆発、炎上』

『横浜、緑区、野木夏子死刑囚の親戚の家が爆発、炎上』

『静岡刑務所内にて、面会者を装った何者かが自爆』

『山梨、甲府刑務所の外壁付近に火炎瓶が投げ込まれている』


 次々と入る情報は、すべて死刑囚の実家、親族の家が狙われたケースと拘置所、刑務所がターゲットとなっている。実際のところは、周辺の住宅や住民も完全に巻き込んで、大火事になっている地区もあるとのこと。


 何が起こっているのかわからないが、座間、鰐、鮫の三人の治療をなんとか終える。こんな地べたではなくて、清潔なベッドに運ぶべきか。辺りを見渡すと非常灯以外は真っ暗である。


 薊は無線機を使用した。


「鷹、そちらはどうしてる?」


 鷹からの返事はない。虎に繋いでみる。無反応。甲も無反応。


 囚人棟は静まり返っている。しかし、どこか遠くで銃声が聞こえた気がした。どこから⁉️


 薊は囚人棟にある数少ない窓から外を見た。すると、暗闇の中で一部分だけ明るいところがある。方角的には拷問場の方だ。


 拷問場で何かが行われているのだろうか。


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