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眩んだ恋2

完全に結ばれない残酷な運命さえ愛しく思えたら、どんなに幸せか。


あたしは欲張りだから、もっと欲しくなってしまったのが良くなかった。



でも先生の全てを独り占めしたいと思うことの、何が悪いのだろう。


そう思えば思うほど嫌な気持ちになり、現実逃避をしたくなった。魔が差したんだと言い訳すればいい。今は、何も考えたくない。


雷の音が聞こえた。ふと、近くの窓を見てみると外は馬鹿なあたしを嘲笑あざわらうような天気へと変わった。



晴れたままなのに、横なぐりに降る夏の雷雨。降る音までも、ザアザアとはっきり聞こえる。零れたあたしの涙をドラマティックなそれらしいものにするには、ちょうどいい。


あたしの心は嵐となって、どす黒い感情がドロドロに渦巻いていた。



ただひたすらに悲しい。

流れる涙さえもこらえたいのに。先生を思う気持ちが泣くことによって、流れ去ってしまわないように。

この気持ちさえも無くなったら、あたしは全てを失う。


ちゃんと正しく愛されなかったあたしが悪いのか。


いや、違う。先生があたしをおかしくさせたんだ。自分は悪くない。


先生は当然の報いを受けたんだ。

だからあたしに殺されても、文句なんて言えないんだ。



身体の震えが治まらない。呼吸さえもうまく出来なくて息苦しい。


横たわる先生の柔らかな唇を指でなぞって、その指を自分の唇に押しあてた。


もう、先生からキスをしてくれない。


優しい顔をした先生。微笑んでくれる時、大きな目を細める。日本人にはあまりいない鷲鼻。にっこりとすると弧を描く薄い唇。右目の泣きぼくろ。癖のある少し長い髪、いつも部活の時はヘアゴムで束ねてる。


全てが愛しかったのに。それなのに。


不安を拭うために、大好きな先生を強く抱きしめた。



そして、ゆっくりと丁寧に思い出す。

振り返ればあの日々の何もかもが色鮮やかに蘇る。


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