『飛行の精霊術とは言いましたが、
「そっか。なんとなく想像できるよ」
レオナルドは、重力を
『そうなのですか?ならば話が早いですね。今回の事象改変は、霊力によってあなたの周囲に風の流れを作り、その力を使って飛ぶことになります。早速やってみてください』
「ああ、わかった。やってみる」
身も
前世で楽しんだゲームや漫画などでは大した説明もなく飛行できるといった場合を
レオナルドは一度深く息を吐くと、目を
広範囲に霊力を出す必要はない。せいぜいが両手を広げた程度の範囲で十分だろう。霊力の放出は白刀化で散々やっていることだから
この間、レオナルドは
すると、
「だああぁ、くそ!全然ダメだ!」
レオナルドが目を開き、
そのとき、室内だというのに突風が吹いた。レオナルドの正面に向かって真っ直ぐに。
『危ない!上を見なさい!』
ステラの緊張を
「っ、なっ!?」
レオナルドがステラの声に反応し、
それらが今まさに落ちてこようとしていた。
レオナルドは目視してすぐに身体強化を行う。瞬時に行えたのは特訓の
「あっぶねぇ~~~」
本気で
『気をつけてください。人間の体なんて
ステラは
「あ、ああ、ごめん。ありがとう。けどなんでベッドが飛んでたんだ?」
ベッドとマットレスをそっと元の位置に戻しながらレオナルドは首を
『気づいていなかったのですか?あなたは、ダメだと言って膝に手をついたとき、同時に前方に、つまりベッドに向かって風を発生させたんですよ。それほど強力なものではなかったので、ベッドは壊れることなく飛ばされただけで済みましたが』
「え?そうだったの?全然気づかなかった……」
身体強化を
『……まあ、無意識だったとしても、初日から実際に風を起こすことができたのです。
「うん。ありがとう、ステラ」
この日は集中力も途切れてしまったので、特訓はここまでとなった。
以降、レオナルドは室内でやっているということを
レオナルドはこの日、
「さて、それじゃあ行ってみようか、ステラ」
『ええ。
「ステラの準備って何?」
『それは後で教えます』
「?わかった。じゃあ行くよ」
『ええ』
レオナルドはベランダへと移動すると、直後、彼の周囲に風が発生し、体がゆっくりと真上に上がっていく。飛行の精霊術だ。
飛行の精霊術に集中していたとはいえ、一か月余りで習得できたのは十分に早いことだった。ステラも『やはりあなたには精霊術の才能がありますね』と言うほどだ。このとき、魔力という才能がなく落ち込んだ経験のあるレオナルドは、ステラの言葉が本当に嬉しくて、だらしなくニヨニヨと口元を緩ませていた。
自分自身を浮かせられるようになってからは、室内で行うには
レオナルドは屋敷から真っ直ぐ森へと飛んで行った。
飛行は順調で、森へとあっという間に着いたレオナルドは上空に
『魔力反応があちらこちらに点在していますね』
「やっぱりわかるんだ?ただ、ここには魔物だけじゃなくて冒険者もいるからなぁ。ステラ、魔物の反応かどうかってわかる?」
『……おそらく。屋敷にいる人間と似た感じの魔力反応がいくつかありますから、それ以外が魔物でしょう。人間の場所を教えればいいですか?』
どうしてか、ステラは答えるのに少し
「人間の場所を知ってどうするんだよ?」
そんな
『実戦なのでしょう?人間を殺しに行くのでは?』
「そんなこと一度も言ってないよね!?」
やっぱりか、とレオナルドは食い気味に否定する。
『そうでしたか?』
「はぁ……。魔物の場所がわかるなら一番近いものを教えてほしいんだけど……?」
『仕方ありませんね。わかりました』
ステラはあっさり引き下がると、レオナルドに魔物と思われる反応がある一番近い場所を伝えるのだった。