『別の世界……?前世……?』
想像していたものとは全然違ったのだろう。レオナルドには精霊の言葉から
「ああ。信じられないだろうけど事実なんだ。びっくりした?」
『…………』
精霊からの反応はなかったが、レオナルドは気にしなかった。
「けど、
『ゲーム?』
いったい何の話を始めるのかと精霊は疑問に思った。
「うん。え~っと、まあ簡単に言うと、自分が物語の主人公になって、話が進んでいくんだけど、主人公の
『なるほど。あなたの
理解の早い精霊にレオナルドは感心した。
「そう、そんな感じ。前世の俺はこのブレブロが好きで、相当やり込んでた。全部の分岐を
『それにどれほどの時間がかかるのかわかりませんが…、前世のあなたは
「暇じゃない。それだけ好きだったんだよ。それなのに、前世の俺は追加パッチ―――、最後に追加された話だけやれずじまいで突然殺された。それが本当に
『殺された後悔がそれなのですか?』
「俺がどれだけ追加パッチを楽しみにしていたか知らないだろ!?殺されるってわかってたら買物なんて行かずにやったんだよ!」
『私に言われても』
「…………」
レオナルドは熱くなって言い返したが、精霊から正論で返されて冷静になり黙ってしまった。しばし沈黙が流れたが、レオナルドは気を取り直して話を続け、
「……ごめん、話が
一気に
『っ!?』
「今名前を挙げた三人。女性陣は展開次第で主人公と結ばれるんだけど、レオナルドはその物語では悪役で、すべての話で最後は何者かに必ず殺される。レオナルドを殺すのは話によってバラバラだ。そして話の展開次第では、主人公達の最後の敵として立ち
『まさか……!?』
「そう。今俺達がいるこの世界はそのゲーム、ブレブロの世界なんだ。だから俺は精霊さんの居場所を知っていた」
『そんなこと……』
あり得るのか。けど、レオナルドが精霊の存在をわかった上で封印の場所へとやって来たのは事実で……。
「俺もこの記憶を思い出したのはつい数か月前なんだ。そのときは本気で
当時の困惑を思い出したのか、レオナルドの口元に苦笑が浮かぶ。
『……ではあなたは、あたなも私も、いいえ、この世界すべてが何者かによって
そんな
「いや、そうじゃない。俺はこの世界を現実だと思ってる。俺にだってゲームでは
『私にとっても今、この世界だけが現実です。……もし、あなたの言っていることが真実だとして、すべてを知っているのなら、どうしてあなたは、私が封印されていたあの場所で、私の声が聞こえたとき、精霊かどうかと確認したのですか?それにどうして霊力のことも知らなかったのですか?私の過去についてもほとんど何も知らなかったですよね?』
精霊の疑いは
「そこなんだよなぁ。今の俺にとって一番重要なレオナルドについてはわからないことが多くて……。今話しててあらためて思ったけど、追加分以外は本当にやり込んでて、細かい部分はうろ
レオナルドは苦笑しながら
『私があなたの精神を汚染したというのは聞き捨てなりませんね。そんなことする理由が私にはありません。ゲームのあなたが勝手におかしくなっただけなのでは?でなければ
レオナルドの言葉を受けて、精霊は
「そうなの!?それこそ驚きなんだけど……。確かにゲームのレオナルドは
レオナルドは、敵役であるレオナルド周りに
『……なるほど』
今のやり取りで何か思うところでもあったのか、そう言ったきり、精霊は黙ってしまった。
しばらく待っていたレオナルドだが、精霊が何かを言う
「……ま、俺が精霊さんのことを知っていた理由はそんなところかな。納得してもらえた?」
『……ええ。あなたが
「そっか。よかった」
精霊の言葉に、とりあえず約束は果たせたとレオナルドはほっと