翌日。
『……ようやくお目覚めですか』
(っ!?)
まだ
(あ、ああ。おはよう……精霊さん)
すぐに正解に
『それで?』
だが、レオナルドの挨拶は精霊に流される。
(え?)
それで?の意味がわからず、レオナルドはきょとんとしてしまう。
『……本日の予定はあるのですか?』
まるで、ここまで言わなければわからないのか、とでも言いたげだ。
(ああ、予定ね。昼過ぎまで勉強で、その後
『……そうですか』
どうしたことだろう、レオナルドは先ほどから何だか精霊の声色に
(あのさ…、もしかして何か怒ってたりする?)
『怒る?私が?なぜ?私にそんな人間のような感情があるとでも?
一気に精霊の勢いが
(お、おう……。いや、もう絶対怒ってるじゃん……)
『聞こえてますよ?』
(ごめん!本当ごめんなさい!俺が間違ってました!変な事言ってごめんなさい!)
訳がわからない精霊の圧にレオナルドは
『わかればいいですけどね。あまりおかしなことを言うものではありませんよ?』
(はい……。気をつけます……)
朝から精神的にドッと疲れてしまうレオナルド。この精霊、絶対感情表現豊かだろ、と思ったが、頭で言語化してまた伝わってしまわないように
レオナルドが折れたことでそんな一幕が終わり、レオナルドはベッドから体を起こすと、今日の予定のことで一番大事な話をしなければと思い至った。
(あ、そうだ。昨日できなかった話なんだけど、長くなるから今日の夜ってことでいいかな?)
『……わかっているのなら早くそう言えばいいものを……」
(?なんて?)
頭に直接響く精霊の声だが、今のはあまりに音量が小さくレオナルドには意味のある言葉に聞こえなかった。
『なんでもありません。それで結構です』
(そっか。ただ、さ……、精霊さんが信じられないようなことを話すことになるけど、絶対
『?意味深な言い方ですね。信じるかどうかは話を聞いて判断します』
(そうだよな。わかった。じゃあそれはまた夜にってことで。それでさ、まだミレーネ―――、メイドが起こしに来るまで時間があるし、今のうちに自己紹介しないか?昨日はなんかバタバタしててすっかり忘れててさ)
『自己紹介?』
(そう。これからずっと一緒なわけだし、いい関係を
『なるほど……。
(ああ。ま、自由にしてくれたらいいよ。それで、精霊さんは?)
『何が知りたいのですか?』
(そうだなぁ。……とりあえず、精霊さんじゃ何だからさ、なんて呼んだらいいかな?名前ってある?)
ゲームには精霊の名前なんて出てこなかったことをレオナルドは知っている。
『……さあ、どうでしょうか。ずっと他に誰もいない環境でしたからね。名前なんて不要でしたし、あったかどうかも
(そっか……。あ、じゃあさ!俺が精霊さんの名前考えてもいいかな?)
『あなたが?』
(うん。嫌かな?)
『……別に。自由に呼んでいいと言ったでしょう?好きにしたらいいんじゃないですか』
(わかった。ちょっと考えてみるよ。ありがとう)
『お礼を言われる意味がわかりませんね』
(うん。じゃあさ、これは?精霊さんはどれくらの時間あそこに封印されてたの?)
『さあ。
(封印されてる間、俺みたいに精霊さんと話せる誰かがあそこに来たりはした?確かあのとき、精霊さんは俺に王家の人間かって聞いたよね?)
『さあ。憶えてませんね』
(……じゃ、じゃあ、封印される前は何してたの?)
『さあ。憶えてませんね』
(…………精霊さんって今何歳?)
『さあ。憶えてませんね』
(………………)
何を訊いても『さあ。憶えてませんね』で返され続け、これ以上続けても無駄ではないだろうか、とレオナルドが
その後、ミレーネが起こしに来て、朝の準備をしているときに、
(彼女はミレーネ。この家で働くメイドさんだ。夜の話にも
レオナルドはミレーネのことを精霊に紹介した。
『……いいでしょう』
人間のことを覚えるなんて抵抗があるのか、少し間を置いて精霊は答えた。
それからもレオナルドは午前中に顔を合わせたゲームのネームドキャラクターである、セレナリーゼ、フォルステッド、フェーリス、サバスの四人を精霊に紹介した。
そうして勉強の時間を終えたレオナルドは鍛錬の時間を