あっくんを散々怒らせて楽しんだ僕は、久しぶりにメンバーに会う事にした。
日曜の昼間、天気が良くて空気も澄んでる。冬だ。
ベランダの窓を開けて深呼吸した。
吐く息が白くて、尚更寒く感じる気がする。
煙草を吸おうとポケットに手を突っ込んだけど、綺麗な空気を汚してしまうみたいに思えたから止めた。
集まるにはいい日だ。気分が明るくなる。
背伸びしたら、眠気がふっ飛んだみたいな
元気にしてるかな?
っていっても約2ヶ月ぶりだから、それなりには会ってるかも。
勿論、彼も一緒。でも2人とも霊感が全くないから、あっくんがブレスレットの中に居るって分からないだろうな。
だから黙っておこうっと。
いちいち説明するのも面倒だし、理解してもらえないと思うから。
まあ、2人ともその手の話は苦手ではないだろうけど、たまに僕がそういう話をするからね。
僕の家にドラムの
丁度暇だったみたいで、どちらも直ぐに来てくれるらしい。
あっくんには服のポケットの中に居てもらうんだ。
窮屈かな? 煙草とライターも入ってるポケットだし。
インターホンが鳴り、最初に来たのは快先輩。
先輩、髪切ったんだな。短髪になってる。
刈り上げの黒髪ショートヘアーがよく似合う。
「よお、優大。元気だったか」
先輩が歯を見せて、にかっと笑ってる。
「先輩、めちゃくちゃ元気です。ほらこの通り」
思いっきり笑顔を返してみせると、先輩は僕の頭をくしゃくしゃに撫でた。髪型整えておいてたのにな。まあ、いいか。
「優大、彼女出来たか」
いい事聞いてくれるじゃん。真希ちゃんの話をしそうになったけど、康太も来てからの方が良い。
「まだですけど、もうすぐかなって感じです」
「そうか、そうか。詳しく聞きてぇな」
「僕ってほら、誰もが羨むイケメンですから! だから直ぐにでも彼女になってくれると思うんですよ」
「自分でイケメンって言う辺り、心配ねぇな! 自信があるんだな! 」
豪快に笑う快先輩、いつもの笑い方だ。久しぶりに見た。安心する。
あっくんが亡くなってお別れ会した時なんて、本当にげっそりしてたから。
見た感じ少し体重戻ったっぽい。良かった。
まあでも元々、先輩はガタイがいいから。
身長が僕よりも高くて羨ましい。181cmだったっけ。 僕は172cmだからな。
自分も身長ある方だと思うんだけどな。
「さあ、上がってください。スリッパありますんで」
スリッパを出すと邪魔するぜ、募る話もあるからよ。それに、お前の話も早く聞きてぇと上がり込んだ。
先輩のテンションの高さ声や笑い方で分かる。
元気そうで何より。
リビングへ向かう先輩の背中を見ながらほっと、僕は息をついた。