4. 前奏曲(プレリュード) ~アリーゼside~
馬車は目的のユトナ聖橋に進んでいく。次第に私の緊張感も高まっていくのです。正直不安しかないのです。それでも一緒に来てくれたミルディがいるので心強いのです。私の力でランバートの軍勢を止めなければセントリン王国もカトリーナ教会も終わってしまうのです。
私たちは大きな川に差し掛かりました。この川がユトナ聖橋の名前の由来になっているようです。橋はもう見えているようなのですが、まだ遠いみたいですね。でもこのまま進めば到着するはずなのです。その時ミルディが私の手を握る。
「ミルディ……」
「大丈夫。あたしもついてるから」
「はいなのです。必ずランバートの軍勢を止めて見せるのです!」
その握られた手はとても温かく、気持ちが落ち着いたのです。そして橋が見えてきました。あと少しなのです!私には迷いはないのです。今でも残る手の温もりがあの時と同じだったのだから……
~過去~
今日はマルセナと共に聖女祭を楽しむために街に出かけているのです!街の人たちはとても忙しそうなのです。それは何故かというと、この街の一大イベントだからでなのです。屋台なんかもいっぱいでるので特に子供にとっては楽しみで仕方がないようなのですよ。
私たちが主役のお祭り。凄く楽しいのです!私はマルセナを見る。いつも通りなのです。最近は忙しくてなかなか街に来れなかったのです。でも久しぶりに来た街はとても賑やかで、活気があるのです。私とマルセナはある場所に向かっているのです。
「ふぅ~さすがに人が多いわね~」
「そういえばマルセナはこういった祭りは初めてなのです?」
「えぇ、こんな大規模なものはなかったわね。でもこういう雰囲気は好きよ?なんだかワクワクしてくるじゃない」
「わかるのです。私もすごく楽しくなってくるのです」
そんな話をしているうちに、いつの間にか目的地に到着したのです。ここは古びた礼拝堂。今は誰も使っていない場所なのです。相変わらずここだけは別世界のような感じでとても静寂に包まれています。私がここにくるたびに思うことだけど、本当にここは不思議だと思うのです。まるでここだけ隔離された場所のように感じるのです。
私はいつもの場所に座って祈りを捧げます。こうやって目を閉じて集中すると、周りの声とか雑音が全て消えていく感覚になるのです。これが結構好きなのです。しばらくそうしてると、マルセナの声が聞こえてきたのです。
「アリーゼ。そろそろいいかしら?」
「あ、ごめんなさいなのです。つい夢中になってしまったのです」
私は目を開ける。そこには笑顔を浮かべているマルセナがいたのです。
「いいのよ。それにしても……よくこんな場所を知っているわね?」
「ここは私が小さい時からこの場所の雰囲気が好きでよく来ていたのです。今もたまに来ることがあるのですよ。」
「確かにこの空気感は他のところじゃ味わえないかもね。なんと言うか神聖って言葉が一番合うかしら?」
「はい、まさにそれなのです!」
私たちは自然とお互いの顔を見合わせて笑いあったのです。やっぱりこの場所は特別なのです。それから私たちは色々なお店を回ったり、食べ物を買ったりしたのです。こうして二人で出かけるのは久々だったので凄く楽しかったのです!でも一番嬉しかったのは……
「楽しかったのです!マルセナと一緒にいるのは幸せなのですね!」
「大袈裟ねアリーゼは。でもありがとう。私もあなたと一緒だと楽しいわ。これからも2人で頑張りましょう」
そう言いながら私の手を握る。この時間がいつまでも続いて欲しいと思うのは私のワガママなのですかね……
~現在~
馬車は目的のユトナ聖橋にたどり着く。私とミルディは馬車を降り、セントリン王国側まで歩いて行く。それはランバート王国の軍勢をユトナ聖橋の上で止めるためなのです。まぁそんなところで止められたら派手な動きは出来ないと思うのです。
「ミルディ。しばらくするとランバートの軍勢がこの聖橋に来るのです。そしたら私がその軍勢を止めるのです」
「あのさ。止めるってどうするつもりなの?」
「説得するのです。さすがに1人じゃ戦っても勝ち目はないのです」
「説得って……本気なの!?相手はランバートの軍勢だよ!?」
ミルディは焦った様子で聞いてきました。まぁ普通ならあり得ない話なのでしょうけど、私は聖女なのです。だからきっと出来ると信じてるのです。
『聖女』それは困っている人々を救い、導く存在。そして私は戦うことを決めたのです。ミルディは少し考え込むと大きく息を吐いた。そして何かを決意した表情で顔を上げると真剣な眼差しでこちらを見て口を開く。その瞳には強い意志が宿っていた。
そしてそれは、私が今まで見たことのないほど真っ直ぐで力強いものだったのです。
「それならあたしも一緒に説得する。アリーゼと一緒なら怖いものなんてないもんね。あたしもう覚悟決めたから!」
「ミルディ……」
正直驚いたです。まさかミルディがここまで言うとは思わなかったのです。でも、それだけ信用してくれているという事なのです。私は改めて決意を固めるのでした。