21. 賢王の血縁者
馬車を走らせ『ミスリル』を発掘するために鉱山に着くと、そこには管理人のガイルさんともう1人女性がいました。見た感じミルディと同じぐらいの年齢でしょうか?可愛らしくて美人さんです。彼女はペコリとお辞儀をすると口を開くのです。
「お待ちしていました。初めまして宮廷魔法士のソフィア=エルヴァンド=マジカリアと言います。今日は、『ミスリル』発掘のお手伝いをするよう賢王ギルフォード様から言われております。どうぞよろしくお願いします」
ん?今なんて言ったのですかね。ソフィアなんとかって……まさか!いやそんなことないはずなのです。でも髪の色は緑色だし瞳の色は翡翠色で同じ……それにこの容姿……どことなく似すぎなのです!私は恐る恐る聞いてみることにしました。
「あの……つかぬことをお聞きたいのですけども……」
私がそう聞くと少しビクッとする彼女……その態度が答えなのです。やはりそうなのですよね!?
「なんですか?何でも聞いて下さい」
笑顔で応える彼女に私は思わず大きな声で質問してしまったのです。
「あのあの!もしかしなくてもあなたは……ギルフォード様の!?」
「はい。お察しの通りです。私はあの賢王ギルフォードの血縁者の1人です」
やっぱりそうなのですね!どうしてここにいるのですか!?というか、どういう経緯で私たちの発掘を手伝うのです!?混乱する私を見て彼女が続けて話してくれました。
「賢王ギルフォード様の古きお知り合いの方で、あの大魔女ロゼッタ様がいると聞き、他国遠征から急いで戻って参りました。どうしても一度お会いしたくて!」
「え……ワシに?」
「はい!私は宮廷魔法士の見習い。以前ギルフォード様より聞いたことがあったのですがとてもすごい方だと伺っていたもので、是非一度会ってみたいと思っていました。それがまさかこんな所で叶うとは夢にも思わなかったです!」
ロゼッタ様の手を握り手をブンブンと上下に動かす。となると彼女は王族なのですよね?王族のソフィア……なんか凄い組み合わせなのです。
とりあえずソフィアも連れて鉱山の中に入る。でも王族なのになぜ宮廷魔法士をしているのです?不思議なのです。そう思っているとロゼッタ様がソフィアに聞いてくれるのです。
「ソフィアは何故宮廷魔法士をしているのじゃ?お主はこのマジカリアの王族じゃろ?」
「はい、私はマジカリアの王族でこの国を継ぐものの1人です。賢王ギルフォード様はもう長くありません……だからギルフォードの子孫たちは各々魔法の知識をつけているんです。賢者の名に恥じないように」
「それはお主の意思なのか?」
「はい!これはマジカリアの為になることだから私としても本望です」
そう言って笑う彼女。何だかカッコイイのです。ミルディやフィオナなんて目をキラキラさせて聞いているのです。こういう子がモテると思うのですよね。そんなことを思いながら私は鉱山の奥に進んでいくのです。
「ミルディ。鉱脈はどうやって見つけるのです?」
「鉱脈は基本は経験則に基づいて探すんだよね。1番は岩盤の様子を見ることかな?」
「ほう……ミルディは経験あるのです?」
「多少はね。父さんと何度か潜ったことがあるんだ。最初はこうして手で岩盤の具合を確かめるんだよ」
そう言いながら岩盤を触るミルディ。なるほど、経験則に基づいて探すのですね。確かにそれで見つけたら効率が良さそうなのです。さすがは魔法鍛冶屋さんなのです!
私たちが鉱山に入って3時間が経つ頃、ミルディがとうとう見つけたのです。目的の鉱脈を!これで『ミスリル』の発掘が出来るのです!