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34. 新たな国へ

34. 新たな国へ




 私たちがマクスウェル家の一人娘の令嬢、フィオナ=マクスウェルを仲間にした次の日。ついにソルファス王国へ向かうことにするのです。魔法船は一応夕方出航の予定なので、準備をしっかり整えることにするのです。私たちは今宿屋にいるのです。


 あっそう言えばフィオナは一応魔法騎士らしいのです。そう言えば確かに腰に剣を差していたのです。フィオナが強くなれるようにとロゼッタ様に魔法の稽古をお願いしたのです。


 最初は文句ばかり言っていたのですけど、フィオナから「師匠」と呼ばれて満更でもなさそうだったのです。それにフィオナは魔法船を動かせるのでおそらくロゼッタ様と同じ第1等級魔法は使えるのです。


 フィオナの師匠は私でアリーゼ様とよばれていて。魔法の師匠はロゼッタ様で師匠と呼んでいる。どっちが師匠なんだかわからないのですね。そんな事を考えているとミルディが私に話しかけてくる。


「そう言えばアリーゼ。ロッド貸して、あの海賊の斧を受け止めたから傷ついてるでしょ?直してあげるから。」


「あっそうでした。お願いなのですミルディ。あとこのバングルも見て欲しいのです。」


「ワシの杖も見てくれんか?魔法が少し曲がってしまうのじゃ」


「はいはい。どれどれまとめて見てあげるから」


 さすがは魔法鍛冶屋さんなのです!ミルディは頼りになるのです!そしてその時ミルディがフィオナに聞く。


「フィオナは何かある?あたし魔法鍛冶だから見てあげるよ?」


「え。ボクのもいいの?ミルディさん。」


「いいに決まってるでしょ?仲間なんだから」


「うん。じゃあ、ボクの剣を見て欲しいの!」


 ミルディが武器を直してくれている間に私はフィオナとロゼッタ様と魔力回復薬を買いに行くことにしたのです。最近戦うことが増えたので気づいたのです、これがあるかないかでは旅が大きく変わるのです。ロゼッタ様の魔法はとても重要ですし、そこにフィオナも加入したので。


 ちなみに魔力回復薬には2種類あって、普通の回復薬とマナポーションと呼ばれる物なのです。マナポーションは上級者向けのアイテムらしくとても高価なのですよ。ただその分効果は絶大で第3等級の魔法なら数回使えるほど回復するらしいのです。本に書いてあったのです!


「あっこれボクの好きな味のマナポーションだ。師匠も今度飲んでみて甘くて美味しいの!」


「ほう。それは楽しみなのじゃ」


 どうやらロゼッタ様も気に入ったようですね。フィオナはロゼッタ様に懐いているようで良かったのです。


 それから色々買い揃えたのです。とりあえずこれでしばらくは大丈夫だと思うのです。後は道中で補充すれば問題ないはずなのです。


 宿屋に戻ると丁度ミルディが武器の修理が終わったようなので確認するのです。私が渡していたロッドを受け取るのです。するとロッドが新品同様に光り輝いているように見えるのです。


 おおーすごいのです。これが魔法鍛冶屋なのですか!? ミルディを見るとドヤ顔しているのです。まぁ当然と言えば当然なのでしょうけど、ちょっと悔しいのです。


「ボクの剣もピカピカだぁ、ありがとう。ミルディさん!」


「一応礼は言っておくぞ。」


「いえいえ、これも仕事だからね。それよりちゃんと大事にしてよね。」


「もちろんなのです!それじゃあ出発の準備をするのです!」


「「「おぉ~!!」」」


 こうして私たちはソルファス王国へと向かうことになったのです。フィオナはまだ心配だけど、きっとみんながいるから大丈夫なのです。


 そして魔法船に乗船しソルファス王国へ出航する。もう時間は夕刻なのです。私は甲板に出て本を読むことにします。橙色に染まる海も空も綺麗なのです。そして顔にあたる潮風も心地よいのです。


 私がカトリーナ教会から追い出されてから色々ありました。ミルディを森で助けて、剣の鋼細工をして、アルグラッドさんと出会い、常闇の森でロゼッタ様と出会い、マールウッド家の悪魔憑きを解決して、魔法船の海賊と戦って、フィオナを仲間にしたのです。


 そして今は仲間と一緒に旅をしているのです。私は世界を救う聖女になれているでしょうか?こんな幸せな時間がいつまでも続けば良いのにと思うのはわがままなのですかね?


「アリーゼ、何を黄昏てるの?」


 後ろを振り向くとそこにはミルディがいたのです。


「別になんでもないのです。ただ夕焼けを見ていただけなのです」


「そうなんだ、アリーゼって不思議だよね?普段はあんなに強いのに、たまにすごく弱気に見える時があるの」


「うっ、そ、そんな事はないのです!」


「はいはい。そういう事にしておくよ。でもさ本当に困ったことがあったら何でも頼ってくれていいんだからね?あたしたちは仲間なんだから。まぁあたしは戦闘とかはあまり助けられないけど」


 ミルディの言葉を聞いて思わず泣きそうになるのです。なんでこの子は私の心が読めるのですか……そう言うところも含めてずるい子なのです。


「う~んいい風。ソルファス王国に着いたら何しようか。やっぱり観光かなぁ?」


 本当にミルディには感謝しているのです。やはりひとり旅は心細かったと思うし、ミルディがいなかったらここまでこれなかったのです。そんな私の気持ちはミルディには言いませんけどね。私は笑顔でミルディに話す。


「それはもちろん!アリーゼ鉱石を見つけるのです!」


「だから何でアリーゼ鉱石なのよ。せめてミルディ鉱石にしてよ、魔法鍛冶屋は私なんだから」


 私とミルディはお互いを見て笑いあう。そしてそこにロゼッタ様とフィオナもやってくる。私は旅を続けるのです、世界を救う聖女になるためにこれからこの4人で。


 次はどんな事が待っているのでしょう。何があってもこの4人なら大丈夫なのです。だから言っておくのです。


 私はただの聖女なのです。聖魔法?そんなの知らないのです!


 と。

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