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14. 人の救いかた

14. 人の救いかた




そしてケーキ屋さんに向かい注文をし、出来上がるまで待つことになったのです。その間、暇になったので少しだけ店内を見て回ることにする。


 すると不思議なものがありました。


 そこには色々な種類の指輪があったのです。ここもアクセサリーが置いてあるのですね。特に多かったのはペアリング。私もいつかは欲しいと思っているものですが……聖女なので、まだ早い気がします。もう少し大人になってから買いましょう。素敵な殿方と。


 そんなことを考えているとアルグラッドさんが一言呟く。それを聞いたミルディがすかさず反応する。


「そういえば指輪……買ってやったことなかったな」


「えっアルグラッドさん指輪買ってあげてないんですか!?」


「結婚した時は凄い貧乏でな…買うタイミングがなかったんだ」


「それはダメなのです!女性にとって指輪は凄く大切なものになるのです!今からでも遅くありません。せっかくなのでミーナさんに指輪も買うのです!」


 私がそういうとミルディも賛同してくれた。2人で色々見て回りながら考える。どんなデザインがいいんでしょうか?やはりシンプルなものがいいですかね?私とミルディがうんうん悩んでいると店員のお兄さんが声をかけてきたのです。


 アルグラッドさんはミーナさんの写真を見せて店員のお兄さんに指輪を選んでもらうことに。結果はシンプルなリングにするようなのです。良かったのです。


 出来上がりを待っている間、私とミルディはアルグラッドさんと今までの事を話すことにしました。私が教会を追い出されてしまった事、ミルディを助けたこと、鋼細工のこと。話が盛り上がって来たときに選んだ商品が出来上がりました。色々話していたらあっという間だったのです。


「ありがとなアリーゼ様、ミルディ」


「聖女として当然のことをしたまでなのです!」


「ミーナさん喜ぶといいですね」


「ああ。そうだアリーゼ様これを」


 そういうとアルグラッドさんは、袋の中から貴族紋が入ったブレスレットを私に差し出してくる。


「このブレスレットは?貴族紋が入っているのですが……?」


「それはマールウッド家の貴族紋だ。このシルクナートを抜けて港町クレスタに行くのだろう?もう何年も前に、港町クレスタのマールウッド家の護衛騎士をしていたことがあってな、もうオレには必要ない。それがあれば港町クレスタまでは身分証の代わりになるだろう」


「お気持ちは嬉しいのですが……これは受け取れないのです」


「なら聖女アリーゼ様。オレのかわりにそれをマールウッド家の当主に返してきてくれないか?オレは返しそびれて困っている」


 そうアルグラッドさんは微笑みながら言ったのです。……それならお断りはできないのですね。本当にいい人に出会えて良かったのです。そして私たちはアルグラッドさんと別れる。


「はぁ……いい事をしたのですね!」


「なんか……アリーゼの目標って言うのが少し分かった気がするよ。あたしも凄い嬉しい気持ちになったし!」


「ミルディ……聖女の素質があるのです!よし私の弟子にしてあげるのです!」


「それはお断り。あたしはあたしの夢があるんだから」


 そんなことを笑いながら話し宿屋に着き夕飯を食べ寝る準備をする。明日は港町クレスタに向かうことになるのです。ついに美味しい海鮮料理が待っているのです!海鮮!海鮮!私が嬉しそうにしているとミルディが呆れた顔をしている。


「アリーゼは子供だねぇ……顔に出てるよ?」


「仕方がないのです。海鮮を食べるのは聖女の宿命なのです」


「何その宿命?その貴族紋のブレスレットをマールウッド家の当主に返すんじゃないの?それより早く寝なよ?夜更かしは美容の大敵なんだからね?あたしはもう寝るから」


「わっ分かってるのです。私の方がお姉さんなのです!」


 私が頬を膨らましているとミルディは笑いながら「おやすみ」と言ってベッドに入ってしまう。私のほうがお姉さんなんですからね!いよいよ明日は港町クレスタに出発です!楽しみなのです!

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