6. お願い
私は森の中で魔物の毒に侵されていたミルディを助けたのです。するとミルディは私の経緯を聞いて、行くあてがなかった私をルベルタの自宅に招いてくれたのです。しかも宿泊もしていいと。ありがとう大聖女ディアナ様なのです。
ミルディのご自宅は魔法鍛冶屋さんで、お弟子さんと親方さんの3人で生活しているようなのです。
私に最初に声をかけてきた若い見習い鍛冶師の男性がリオンさん。そして長い髭が似合う鍛冶師が親方さんのミルディのお父様ブラックさん。
彼らは私が森からミルディを助けた経緯を知るととても感謝してくれました。更に私の事情を聞いた後、親方さんがそれなら旅の資金が貯まるまで自分達の元でしばらく住み込みで働かないかと言ってくれたのです。
もちろんその申し出はとても嬉しかったです。
でも…… やっぱり私にはやることがあるので丁重にお断りをさせていただきました。そして夕食もご馳走になり、お風呂までいただいちゃいました。
「お風呂でましたのです。ミルディ」
「あっうん。その服大丈夫?あたしのサイズなんだけど……」
「えっと……胸のところが苦しいのです。前がしまらないのです。でもそれ以外は問題ないのです」
「悪かったね!言っておくけど、あたしは普通だから。アリーゼが大きいだけだからね!」
私は首をかしげる。何故かミルディは少し怒っているのです。女性は胸の大きさじゃないのです。大事なのはその中身なのです。
その時……
コンコン 部屋のドアがノックされました。誰でしょうか?こんな時間に……。
ミルディが部屋の扉を開けるとそこにはリオンさんがいらっしゃったのです。
「えっ!?アリーゼ様!?その!前を隠してください!」
「あ。すいませんなのです。でも……前がしまらないのです」
するとミルディが慌てて大きめの上着を羽織らせてくれました。男性には少々刺激が強すぎましたかね?それにしても一体なんの用事なんでしょう?
「ミルディちゃん。今日はどうする?」
「もちろんやりますよ。さぁ中に入ってください。アリーゼ、少しだけリオンさんと話してるから。ゴメンね」
そういうと2人は椅子に座り何かを話し始めた。私はとりあえず教会を出る時に持ってきた本を読むことにするのです。
そして鞄の中から1冊の古文書を取り出す。この古文書は教会にいる時に読んでいたものなのです。文字はまだ完璧には読めないけれど、自分なりに簡単な文字表を作っていたのです!これを見ながら読み進めればなんとかなると思うのです。
しばらく時間が経ち、私はこの古文書に集中していたので、ふと顔を上げると、ミルディとリオンさんはまだ話し合いをしているようでした。
「んーじゃあそうしようか」
「わかりました。それでは明日、朝食を食べてから行きましょう。」
2人共なんだかご機嫌みたいなのです。そしてリオンさんは部屋を出ていく。今日は朝から色々あったので眠くなってきましたね。そろそろ寝る時間なのですね。
「ミルディ。私はそろそろ寝るのです」
「あ。アリーゼ。明日さ一緒にロウム石を採取しに行くのを手伝ってくれない?ダメかな?」
「え?お手伝いですか?」
「ほらアリーゼは色々知識があるし、またポイズンビートルとかに襲われたら大変だしさ?」
襲われたら?私は騎士団やギルド冒険者ではないのです……ただの聖女なのですよ。
そうですね……1日くらい出発が遅れても問題ないですし、せっかくミルディが私を頼ってくれていますし……聖女として断るわけにはいかないのですね!なので私は同行させてもらうことにしたのです。
その後、私は色々あった疲れから自分のベッドに入りすぐに眠りについたのでした。