58. 変化
アルフレッドに協力をお願いしてからそのままギルドを出て、私たちは次の目的地に向かうことにする。それはもちろんもう1人協力してもらいたい人物がいるからだ。
「あの、次はどこに行くんですかイデアさん?」
「教会よ」
「教会?そんなところに何の用事があるの?」
「もう1人協力してもらいたい人がいるのよ」
私たち三人はそのまま街にある小さな教会へと向かう。そこは孤児院が併設されている場所。教会の入り口には花壇があり、白い綺麗な百合の花が咲いていた。
「すみません。どなたかいらっしゃいますでしょうか?」
教会の扉を開けるとそこには一人の女性がいた。その女性は私を見ると一瞬驚いたが、優しそうな笑顔を浮かべて出迎えてくれた。
「……今はお祈りの時間なんです。少し待っていてもらえますか?」
彼女はそう言って祈りを捧げている。その姿はとても美しく見えた。しばらくすると彼女が立ち上がりこちらに向かってくる。そして私の手を握ってくる。
「イデアさん!本物ですよね!?戻ってきてたんですね!ずっと会いたかったです!」
「私もよ。元気そうねオリビア」
「はい!イデアさんも元気そうで良かったです」
オリビアは相変わらず天使のような笑みを浮かべていた。大人になったなぁ……前世の時のオリビアそのものだわ。私はアリッサとエレンにオリビアを紹介する。
「彼女はオリビア。私と同じ王立学園の時のクラスメートで親友なのよ。まぁ……私は王立学園を途中で辞めたんだけどね。」
「オリビアです。よろしくお願いしますね」
「はい。あたしはアリッサと言います」
「ボクはエレンだよ。よろしくね」
二人が挨拶をする中、早速本題に入ることにした。
「オリビア。実は協力してほしいことがあるんだけど……?」
「イデアさんが私にですか?私でよければもちろん喜んでお手伝いしますよ!私とイデアさんは親友ですから!」
「うん。ありがとうオリビア。実は騎士団の最終試験を受けているの。内容はガルーダの討伐なんだけど……あなたの力を借りたいの」
そう。オリビアはガルーダの攻撃を防ぐ防御魔法、そして弱体化させる光魔法が使えるはず。そして更に彼女の回復魔法があれば、みんなも安心して戦えるだろう。本当にオリビアは優秀よね。前世でも何度も助けられたしね。
「ガルーダ……確かAランクの魔物ですよね。私にできますかね……」
「大丈夫よ。あなたは学園の頃から優秀だったもの。自信を持ちなさい」
「イデアさんには敵いませんよ。でもありがとうございます。私頑張りますね」
「ええ。じゃあ明日は朝から頼むわね。集合場所は街の門の前。時間は日の出と共に。」
「分かりました。それではまた明日。久しぶりに燃えますね!」
なんか知らないけど、オリビアがやる気になっているのは放っておくことにする。試験でダンジョンに行った時はもっと怖がってたような気がするけど……私が辞めてから変わったのかしらね?
私は2人の協力者を手に入れることに成功した。持つべきものは親友よね!アルフレッドは違うけど。
「アルフレッドさんもオリビアさんも優しそうな人で良かったねエレン?」
「うん。それよりお姉さんって王立学園に通ってたんだ?」
「そういえば言ってなかったわね。私こう見えてもクラスでも人気者だったのよ?」
「へぇ~それは意外だね?」
「何よその反応……。まぁいいわ。このあとは必要なものを買って家に戻りましょう。明日から忙しくなるわよ!」
残り期限2日。私たちはガルーダ討伐の準備をしていくのだった。