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46. 後悔

46. 後悔




 私は街に出る。こんな夜も更けてる時間に私みたいな可愛い女の子(?)が出歩いたら危ないけど仕方ない。


 まずは『ゲート』が本当にあるのかだよね。カトラス王城には特に違和感はなかったし……となると。


「やっぱり。あそこが一番怪しいかな」


 私はこの国のシンボル。時計塔を見る。あそこに何か秘密がありそうだ。私は気配を消してこっそりと近づき様子を伺う。見張りの兵士は二人か。さすがにバレないように忍び込むのは難しいな。


 そう私が考えていると、突然後ろから声をかけられる。


「もしかしてイデアさん?」


「え。リアンさん?どうしてここに?」


「私は街の警備がてら巡回していたんですよ。そうしたらあなたの姿が見えたので」


 まずい……何かいい訳を考えないと。とりあえず思い付いたことを話すことにする。


「へーそうなんですね。私はちょっと散歩をしてただけです。昼間見たあの時計塔が気になって!」


「そうでしたか。それはそうと、どうして一人で来たんですか?」


「そ、その……姫様には黙っておきたかったんです。だって、姫様は優しいから心配するでしょうし……」


「なるほど。そういうことでしたら私に任せてください。せっかくなのでこのカトラス王国のシンボルの時計塔に入りましょう。」


「えっ!?いや、それはマズくないですか?」


「大丈夫ですよ。私についてきてもらえれば」


「は、はい……」


 私はリアンさんに言われるままについていくことにする。


「この扉は……?」


「これは隠し通路なんですよ。ほらここを押してみてください」


「あっ開いた!」


「これで中に入れるようになりました。それじゃあ行きましょうか」


 なんで隠し通路を?まぁいいか。私たちは薄暗い階段を下りていき、しばらく進むと広い場所に着いた。しかし、さっきから汗が止まらない。この場所は危険だと私に知らせてくれているかのように。それに普通こういう時って上に登っていかない?


「ここは一体……?なんかすごく嫌な雰囲気がしますね」


「そうですね。実はここは……地下牢なんです」


「え?地下牢?」


「まぁまぁ落ち着いてください。とりあえず私の後についてきて下さい」


 リアンさんは歩き出す。そして一つの牢屋の前で立ち止まる。そこには、全身傷だらけで今にも死にそうなくらい弱り切った男がいた。


「この人は!?早く治療しないと!?」


「……そしてその男こそが、ジギル王子の側近騎士のリアンですよイデアさん?」


 その言葉と同時に私に剣が振り抜かれるが、間一髪防ぎ距離をとる。


「勘のいい人間だ。昼間見たときに思ったよ。こいつはヤバい。早めに始末しないとなと。そしたらまさかお前の方からのこのこ来るとはな?」


「……『ゲート』はどこにあるの?答えなさい」


 私は目の前の男に問いかける。すると男はニヤリと笑いながら答える。


「お望みなら今作り出すが?」


 まだ『ゲート』はこの国にはないと言うことか。間に合ったわ。私はそのまま腰の剣を抜き構える。


「おいおい。オレが誰だかわかってるのか?魔王軍の幹部の1人……」


「……『砕塵のグラド』魔王軍の四人の幹部の1人。属性は地。性格は残忍非道で戦闘狂。人も魔族も魔物も関係なく殺せる奴だってことはわかっているわ。」


「ははははは!!よく知っているじゃないか!!それでこそ殺しがいがあるってもんだぜ!!!そして後悔しろ!このオレと出会ったことをな!」


 ……お前の魔力が完全ならね?今のこの状況なら間違いなく私の方が強いし、負けるはずがない。この世界の未来のためにここで消えてもらうわ!


「なんだ?随分余裕だな?」


「あなたには絶対に負けないもの」


「そうか……ならば死ね!!」


 グラドは地面を思いっきり殴りつける。そして地震のような揺れが起きるが、それも想定内。むしろ私のことをただの姫騎士だと思っているなら大間違いよ。私は瞬時にグラドの懐に入り一撃をくらわせる。


「ぐはっ!?」


 グラドは血を吐き、地面に膝をつく。


「……何をした?」


「なにって?別に剣を振り抜いただけよ?」


「バカな……勇者でもなんでもないお前ごときが……」


「教えてあげる義理はないわね。さっきの言葉そっくり返してあげるわ、後悔しなさい!ここで私と出会ったことを!『―――我が呼びかけに応え、顕現せよ。光の刃、聖天の輝き』!」


 私は剣を構え魔力を解放する。すると剣に聖なる力が宿る。


「な、なんだそれは!?その魔力……精霊の……まさか貴様は!?」


「さよなら」


 私は光を帯びた剣を横一線振るう。すると光が斬撃となり、グラドに向かって飛んでいく。グラドは両手をクロスさせガードするが、その防御ごと身体を真っ二つに斬り裂いた。

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