31. 推薦
-ー-ー時は過ぎていき2年の月日がたった。私も17歳になり、学園生活も3年目に突入していた。そして今、私は自分の部屋で紅茶を飲みながらのんびりしていた。
いやー最近は平和すぎて暇すぎるわね~。そんなことを思いながら、私はソファーに横になってダラダラしていると、突然ドアがノックされる。
コンッ!コンッ!
「はーい」
私はソファーから起き上がると、部屋の扉を開ける。するとそこにはお母様が立っていた。
「あれ?どうしたの?こんな時間に?」
「ちょっとあなたにお客様が来てるのよ」
「私に?誰ですか?」
「ほら早く行きなさい」
私は急かされながら、客間に向かうとお父様と見知らぬ男の人が座っていた。
「あっ、イデア。こっちに座ってくれ」
「はい、失礼します」
私は言われるまま、席につく。
「それで……そちらの方は?」
「ああ、紹介しよう。こちらは騎士団長のレイヴン=クロウリーさんだ」
「初めまして、イデア嬢。私が騎士団長のレイヴンです」
「えっ!?騎士団長!?」
私は驚きのあまり声を上げてしまう。なにせ目の前にいるのはこの国の最強と言われている騎士のトップなのだ。驚くなって方が無理があるでしょ? っていうか何でそんな偉い人が来たの?私、何も悪いことなんてしてないわよね?そんなことを考えながら、冷や汗を流していると、
「実は今日来たのは君に頼みがあってね。国王直々の依頼で君に話をしに来たのだ。」
「私に!?」
あまりのことに思わず大声で叫びながら立ち上がってしまう。
「おい、落ち着けイデア」
「ごっごめんなさい、お父様。つい驚いてしまって……」
「いや説明足らずですまない。国王直々というよりは姫様の依頼なのだ」
「フレデリカ姫様の?」
「ああ。実は週末なのだが、隣国のカトラス王国の謁見があるのだ。フレデリカ姫様の推薦でその時だけ『姫騎士』として一緒についてきて欲しいという依頼なのだ。本来の姫騎士が任務中に怪我をしてしまってな。どうだ?頼めないだろうか?」
「なるほど……そういうことでしたか……」
私は冷静さを取り戻して、ゆっくりと椅子に座り直す。そして少し考える。そう言えば最近のフレデリカ姫様は国政に良く参加されていて、学園を休みがちではある。正直ここ半年ほどまともに学園では会わなくなった。
そりゃこの国の第一皇女だし、将来を見据えてのことだろうけど、まさかそのせいで私に白羽の矢が立つとは思ってもいなかったわ。でもまあ……
「わかりました。引き受けます」
別に断る理由もないわね。それにここでこの騎士団長のレイヴンさんに恩を売っておくのもいいかもしれない。これで将来騎士団入団確定フラグを立てておきたいし!
「おお!ありがとう!きっと姫様もお喜びになるだろう」
「いえ、こちらこそよろしくお願いいたします」
「では早速だが、明日城に来てくれ迎えの馬車は用意しておく」
「え?お城?」
待て待て!いくらなんでも早すぎじゃない?心の準備とかできてないんですけど!そんな軽々この国の城に入るなんて……。
「何か問題でもあるのか?」
「いっいや……大丈夫です……」
「そうか。なら良かった。ではこれで失礼するよ」
そう言って騎士団長のレイヴンさんは帰って行った。
「はぁ……緊張した……」
「イデア。すごいじゃないか。まさかお前の剣の腕が認められるなんて思わなかったぞ?」
「学園での魔法能力もすごいって先生も言っていたし、お母様も嬉しいわ」
「あはは。お父様とお母様の子供ですから」
もちろんそれもあるだろうけど、実際は転生勇者だからチートでステータスがヤバイことになっているんだけどね。ちなみに今のステータスは
【名前】イデア=ライオット
【年齢】17
【種族】人間
【性別】女性
【属性】炎、水、光
【クラス】転生勇者
【レベル】148
【スキル】『剣術LV.MAX』『水属性魔法LV.8』『炎属性魔法LV.3』『光属性魔法LV.3』『回復魔法LV.3』『魔法剣LV.6』『全属性耐性』『精霊の加護』『状態異常耐性』『気配察知』『威圧感』『統率力』『カリスマ』
もう笑うよねこれ。
ちなみに毎日のようにフレデリカ姫様とオリビアと一緒にいるうちに影響を受けたからもしれないが、フレデリカ姫様の炎と光の混合魔法が格好良かったので興味本位で真似て使ったら、いつの間にかスキルに加わっていた。幼少の頃から全属性の初歩的な魔法を使えてたので、もしかしたらそのせいだと思う。
しかし回復魔法は関係ないのに、オリビアが怪我をした時になんとかしようと真似をしたら使えるようになった。なんでだろ?
だから今の私は最強の剣術があり、炎と水と光の魔法と魔法剣、あと回復魔法も使える。そしてレベルが上限の100を越えて148。まさにチートである。
「じゃあお祝いしないとな。今夜はご馳走にしよう」
「ふふ。それじゃ準備しないと。イデアお手伝いして」
「はい」
こうして私はフレデリカ姫様の護衛の任務を受けることになった。