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23. 不変 ~女神リディアside~

23. 不変 ~女神リディアside~




 そこは、相も変わらず真っ白な空間が広がっていた。現実とはどこか違う浮遊感のある世界。その中心に、一人の女神が佇んでいる。彼女は、輪廻転生を管理する存在。そう、ここは天界。


本来、同じ魂を同じ時間軸に戻すことは、決して許されない禁忌。しかし今回は特例。女神は、ある計画を実行に移していた。その女神の名はリディア。


「うふふ……まさかあの子がこんなことになるなんて」


リディアは、口元に妖しい笑みを浮かべた。その視線の先には、大きな水晶玉。そこには、長い金髪を赤いリボンで結んだ、一人の少女の姿が映し出されている。


少女の前世は、とある世界で勇者として魔王と戦った。しかし、魔王の強大な力の前に敗れ去った。普通ならば、もう一度やり直し、魔王を倒すのがセオリー。しかし少女は違った。彼女は今、『勇者』にならないように、普通の女の子として生まれ変わり新たな人生を歩んでいる。


……そう、見えているだけなのかもしれない。


「さぁ、イデア。かつての仲間と、また再会したようですね。時間軸が変わろうとも、その運命には逆らえませんよ?」


リディアはそう呟き、不敵な笑みを深めた。その表情は、まるで新しいおもちゃを与えられた子供のよう。しかし、その瞳の奥には、純粋な好奇心が宿っているようにも見えた。


「どこまで抗えますかね?もっともっと、私にその輝きを魅せて下さいね?いざとなれば、多少は手助けをしてあげてもいいかもしれませんね?まぁ、そうならないことを願うばかりですが……」


リディアは、再び水晶玉に視線を戻し少女の運命を見守る。その瞳には、期待とほんの少しの悪戯心が揺らめいていた。

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