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8. 強くてニューゲームだったんですか???

8. 強くてニューゲームだったんですか???




 翌日。私はフレデリカ姫様と一悶着があったからか、なぜかすでにクラスメートから『怖い人』『王族に逆らう暴君』などのレッテルが貼られてしまっていた。なんとも理不尽である。昨日の出来事が、瞬く間に学園中に広まったらしい。


「はぁ~……」


 思わずため息が出てしまった。これから先大丈夫かしら……憂鬱な気分になりながら教室へと向かう。教室に入ると、私の席の隣には既に人が座っていた。あれ?確か昨日はいなかったはずなのに。


「おはようございます」


 とりあえず挨拶をしてみる。すると一瞬ビクッとしながらこちらを振り向いた。


「え。あ、うん。おはよう」


 …………。えっと、それだけ?もう少し何かあってもいいんじゃないかしら。やっぱりレッテルのせいでよそよそしいわね。でもせっかく隣の席なんだし仲良くしておこうかしら。


「ええと、名前はなんていうんですか?」


「え、名前?ええと……オリビアだけど」


「そう。私はイデア。よろしく……」


 私は目を見開く。オリビアって賢者のオリビア!?確かにどことなく面影があるような気がするわね。そう言えばオリビアは王立学園を卒業してギルド冒険者になったって言ってた記憶があるわ。


「ええと、どうかしたの?私の顔に何かついてる?」


「いや、なんでもないの。気にしないで」


 まさかこんなところで会うとは思わなかった。……ん?待てよ。ここでオリビアと仲良くなって、オリビアがギルド冒険者にならなければパーティーを組むこともないし、魔王を倒す勇者になるフラグは立たないんじゃないかしら?


 オリビアの魔法には幾度となく救われた記憶がある。それにオリビアは優しい性格だったはずだし、仲良くなってオリビアには将来教会とかで働いたほうがいいってアドバイスをして、ギルド冒険者という選択肢を無くしてもらおうかしら。うん。きっと上手くいくはず! 私はそう考え、まずは友達になろうと思った。


「ねぇ、オリビア。よかったら私たち友達にならない?」


「え?……いや、その……」


「あのね!昨日のはどこかのお姫様がいきなり私に魔法をぶっぱなしてきたのよ!私は被害者なの!」


 私が必死に訴えかけると、どうやらわかってくれたようで、私の味方になってくれた。そしてそのままオリビアにいろいろと愚痴を聞いてもらい、少しスッキリしたところで担任の先生がやってきて授業がはじまる。


「さて、今日は自分のことを知ってもらおうかな。これを配りますね」


 先生がそう言って取り出したのは、ステータスカード。この世界では15歳になると自分のステータスを確認することができるようになる。そういえばこの2回目の人生では初めて確認するなぁ。大体のレベルくらいは想像つくけど、どんな感じなのかな。ちなみに前世は100だった。なのに魔王を倒せなかったんだよね……


「今の皆さんのレベルは大体10~20くらいだと思います。卒業するころには50を越えている人も出てきますよ。ちなみにレベルの上限は100です。あとはスキルや魔法属性も確認してみてくださいね」


 私は期待に胸を弾ませて先生から渡されたステータスカードに魔力を込めていく。するとステータスカードに文字が表示された。


【名前】イデア=ライオット

【年齢】15

【種族】人間

【性別】女性

【属性】水

【クラス】転生勇者

【レベル】118

【スキル】『剣術LV.MAX』『水属性魔法LV.5』『全属性耐性』『精霊の加護』『状態異常耐性』『気配察知』『威圧感』『統率力』『カリスマ』


 私は黙ってステータスカードをひっくり返す。うーん……昨日遅くまで魔導書を読んでたからかな?もう一度確認することにする。するとやはり同じ文字が刻まれている。


 ……あれぇ~?もしかしてこの2回目の人生って強くてニューゲームだったんですか???しかも100越えてますけど!?


 つまり前世のレベルが100。で、今回が18まで上がっているということか。私が驚愕の事実を知って戸惑っているとオリビアが話しかけてくる。


「どうだった?私はレベル18。属性加護は光だったよ。イデアさんは?」


「え?えっと……私も18。属性加護は水だった!同じだね!あはは」


「そうなんだ!じゃあ一緒に頑張ろうね!」


「う、うん」


 こうして、私の波乱万丈な学園生活が幕を開けるのであった。

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