4. エルン=アクセルロッド 相棒を手に入れる
私はブレイドさんに連れられ人気のない路地にある一軒の古びたお店に来る。あのさ……ここは一体何屋さんなんだろうか……まさか本当にこのおじさん私のこと……まぁあり得ないけど。
「エルン何してんだ。早く入れ」
「は~い……」
私はあまり気が進まないがそのまま店の中に入る。すると中は意外にキレイで、剣や槍などの武器や高そうな防具も置かれている。なるほど、ここは武器屋さんなんだ。店内をキョロキョロと見渡していると店の奥から店主らしき男性が出てくる。
「いらっしゃい。おう!ダンナ待ってたぜ!」
「遅くなって悪かった。紹介する。こいつがエルンだ」
「あっエルン=アクセルロッドです。」
「ほう。ずいぶん可愛い子じゃねぇか?ダンナのお気に入りってやつか?確かに……ダンナ好みだな。オレはマードック。ダンナとは昔からの馴染みだ、よろしくな。」
ブレイドさんは店の店主であろうか、男性に私を紹介する。マードックさんか。私を可愛いと言っている。この人は見る目がある。うん絶対いい人だ。というかブレイドさん好みなのか私は。ならやっぱり素直じゃないよこのおじさんは。あれだな、好きな子をいじめるタイプだこのおじさんは。
「好みなわけないだろう。つまらんこと言うなよマードック。頼んでおいた例の物は出来てるか?」
「ああ。ダンナの頼みだからな急ぎで作ったぜ?最高傑作に仕上げた。気に入ってもらえると嬉しいがな?」
そういうとマードックさんは店の奥から布にくるまれた物を持ってきた。
「しかしダンナがいきなり大金持ってくるから驚いたぜ?しかも自分のじゃない誰かの為の武器を作ってほしいってな?」
「余計なことは言わなくていい。それはエルン、お前の為に作ってもらったんだ。開けてみろ」
えっ私の為に?ああ……私の武器がショートソードとウッドスタッフだから気を遣ってくれたのか。私はその布を取る。するとそこには剣の柄だろうか、刃はついていないが間違いなくその形をしている。
「あの……柄だけですか?これ刃がついてないですけど?」
「エルンちゃんだっけか?それはな
「マードックは魔法鍛冶なんだ。ある程度の注文武器を作れる。とりあえず試しに使ってみろ」
使うってどうやって?ただの刃のついていない剣の柄にしか見えないし。私がしかめっ面でそれを睨んでいると、マードックさんが使い方を教えてくれる。
「その
「イメージ……」
ふむふむ。なるほど、理解は出来た。私はとりあえず使ってみることにする。まずは「剣」次は「槍」のイメージを魔力と共に込めてみる。すると蒼白い光を放つ剣が、そのあとは槍が形成された。
「わわっ!これ、やばっ……」
「おお!早速使いこなしてるな?魔力も乱れてないし成功だな」
「エルン。それはお前の神格スキルを生かすための武器。その
確かに私は考えていた。相手が剣以外の武器なら……例えば槍のような直線的な攻撃や長い武器との戦いに不利だし、相手が使う技を使えないという欠点があった。
それをこの
「気に入ってくれたようで良かったぜ!エルンちゃん。一応定期的にメンテナンスには来てくれよ?お金は取るけどな。」
「ありがとうございます。その……ブレイドさんこれ高かったんじゃ?マードックさんも大金って言ってたし……」
「気にするな。シルバーランク昇格の祝いだ。受け取っておけ。お前はパーティーのリーダーなんだ。お前はこれから先、絶対に誰にも負けるな。それがオレへのお返しだと思ってくれていい。お前の負けはパーティーの負け……それを覚えておけ。」
「ブレイドさん……ありがとう!私大切にするから!」
私は満面の笑みでブレイドさんに感謝を伝える。それはこの
今まで誰にも本当の意味で頼りにされたことがない私の事を仲間として頼ってくれた事、私の憧れる『閃光』の元メンバーのブレイドさんがそれをしてくれた事だ。色んな感情が溢れでて涙が出るくらい嬉しい。
「ふっなんか何処と無く似てるよな
「どこがだ。あいつはまだ子供なんだよ。大人が見てやらないといけない。ただそれだけだ。」
「そういう事にしておくよダンナ」
私はブレイドさんに連れてこられた馴染みのマードックさんの武器屋で、今日。最強の相棒と出会った。私はこの相棒とパーティーの皆と共に世界一のギルド冒険者になる道を一歩ずつ進んでいるのだった。