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15.専門学校時代・白旗肛門

新たに下痢人間へと進化した私は、今まで愛用していた下剤をやめ、整腸剤と下痢止めを新しい相棒にした。

しかし下痢止めを飲みずぎると元の便秘に戻ってしまうので、中々調整が難しい。

薬によってカチコチに激怒したウンコは、長年指によって弱りきった肛門にとって鋭利な刃物として牙を剥いてしまい、ズタボロに切り刻まれてしまうのだ。

まあ、いつもの薬を塗っていりゃあ大丈夫だろう、と高をくくっていたのだが…何日経っても傷は治る事がなく、トイレでする時はもちろん椅子に座ろうとするだけでも、肛門が悲鳴をあげた。


ダメだこりゃ、と肛門に白旗を挙げた私は初めて肛門科の病院へ助けを求めて駆け込んだ。


病院とは言え他人に肛門、尻の穴と言う人間の恥ずべき場所を見せなくてはいけない状況で、私は意外にも緊張せず落ち着き払って無駄に堂々としていた。

なぜなら肛門の診察は、先生が器具や指を入れて診察をするからだ。最近引退はしたものの、肛門に指を入れる事に関しては熟練者(事故ではあるがゴムも入れた事あるし)、他人の指だってどうってことない、なんでも来いだ。

自分に診察の番がまわり、言われた通りに診察台に仰向けになってパンツを下ろし両足を抱えるその格好は、まるで赤ちゃんのオムツ替え。

赤ちゃん返りをした私は、肛門をさらけ出して来たる衝撃を待ち構える。


そして人生で初めて、自分の肛門に他人の指を受け入れた。


診察は問題なくほんの数分で終わり、予想通り切れ痔の診断を受けて肛門の塗り薬とウンコの機嫌を和らげる飲み薬(軟便剤)を手に入れ、意気揚々と自宅へと帰還する。早速、言われた通りに夜寝る前の薬を肛門に挿入し、一夜を共に明かすと…………。


私は気分爽快で、晴れやかな朝日を浴びながら目を覚ました。


スーーーーーーっと肛門も痛みは引いていて、あれだけ痛んだの一晩で良くなってしまったのだ。市販の薬では、大抵数日かかっていたのが、医者の薬だとたった一日でも効果が実感できる。

知ってしまったからには、もう市販薬なんて使えない。変わり身の早い私は、市販薬を容赦なく見捨てて速攻で医者の薬へ乗り換え、肛門科の常連客となったのだった。



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