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12.高校時代・盲目

怒涛の高校生活を送りながらも、辛うじて私は三年生へと進級。


となると、いよいよ卒業後の進路をどうするか考えなくてはいけないのだが、その前に一学期・二学期と出席日数が足りなくて、そもそも卒業できるのかどうか怪しくなっていた。

傍から見れば一体何サボってんだと思うが、本当に只々ただただ、学校に行くのが辛かったのだ。

そんな状況でも、両親と先生は高校中退はマズイと話を聞いてもくれなくて、私は補習を受ける事に。補習の先生からは「あんたの補習のために授業を開いて働かせてられている」と怒鳴られ、同じ補習を受ける一、二年の生徒からはバカにされながら、学校に通い続けた。


そんな中でも進路だけはスムーズに手早く決まるもんだから、進路は決まっているのに卒業は決まっていないと言う、よく分からない状況に。

私が行く事にになった学校は、美術系の専門学校。実家からは離れているので一人暮らしにはなってしまうが、絵を描くのが好きな私にぴったりだと言われるがまま、AO入試を受けた事で一般の受験より早い十月で合格出来たのだった。


そのためにも絶対に卒業はしなければいけない、とプレッシャーを抱えながら、私は嫌な学校に死ぬ気で通い続けた。痛む腹・出血する肛門・つってしまう指・引きこもるウンコ共々、死ぬほど苦しくて辛い日々だった。比喩ひゆの表現ではなく、いつでも死ねるように遺書を携帯に用意しているほどだった。

時には、自らハサミやペンで体を傷つけたり、学校に行きたくないと大の字になって駄々を捏ねて「どうしても行かせたいのなら、包丁で刺して殺してくれ」と、母に懇願こんがんした事もある。

流石に困り果てた母は、心療内科へ連れて行き精神安定剤を服用させ、かろうじて通う事が出来ていたのだが、この薬がウンコとの相性が悪かった。その薬は飲んでいると便秘になる副作用があって、見事に私は便秘が悪化、ついでに痔も悪化。

薬のせいでまた新たなウンコを和らげる軟便の薬を飲まなくてはいけないと言う、ますます訳分からん状況となってしまっていた。


…ある時父が、学校・仕事のいじめや過労が原因の自殺のニュースを見て、呟いた台詞がある。


「辞めりゃあいいのに」


父が他人事で言ったその言葉は、娘の私にぴったり当てはまっていた。

時間が経ちこの文章を書いている今となれば、どうしてそんなに無理してたのか、あんなに無理しなくて良かったのにと思うが、人は追い詰められると周りの状況が見えない盲目になってしまうのだと、私は思う。あの時の私も盲目的に一つの考えに囚われていたのだ。

みんなと同じ普通になりたい、そんな考えに。


姉も兄も健康で順風満帆に高校卒業し、大学に通いながら一人で暮らして、働いて、結婚している。両親も先生も、大体同じような人生を歩んで来ている。漫画、アニメ、ドラマ、映画でも、何だかんだあって最後には結婚したり、子供がいたり、ハッピーエンドで終わっている。


だから私もそうでなくてはいけない、そうならなければならない。


はっきり口にして言われた訳じゃないが、私が具合悪い時、私が外でみんなと遊ばずに家で一人遊びしていた時、私がぼっちだと知った時、私がいじめられっ子だと分かった時、その数々の母の反応を見ていると、そう思わずにはいられなかった。


ただでさえ、その日のウンコの調子によって自分の気分が左右されて、指を入れないとウンコが出ない、まともな人間ではないのだから。


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