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11.高校時代・遭難者

多分、私とウンコは前世で因縁のあるかたき同士だったかもしれない。


ある意味、予定通りの高校生活を送る日々の中、私は授業中に猛烈な腹痛に襲われた。昨日出なかったウンコが今になって、腹の中で踊り狂っていたのだ。

今更調子に乗りやがってこのウンコ野郎…、と自身の腹に向かって悪態をつきながら、いつもの保健室に行くふり作戦を使いトイレへ直行すると、あいつが私の前に立ちはだかる。


学校には和式トイレしかなかったのだ。

………本当の所は、洋式も存在していたが生徒は使用禁止である。理由は分からんが洋式は先生専用、和式は生徒専用と言う意味不明な決まりとなっていた。


でも授業中の今なら、先生も生徒達も誰もいないので洋式に入ってもバレないだろう。だがしかし、根っからの小心者のいじめられっ子気質の私には洋式を使う勇気はなく、やむを得ず和式へと突入して久しぶりにウンコ座りの姿勢を構え、肛門へと指を迎え入れた。


もちろん生ではない、ちゃんとゴムをして入れている。


こんな不測の事態もあろうかと、いつでも準備万端にポッケにゴム指袋を忍ばせていたから安心して外で肛門指入れが出来る。腹にはかなり詰まっていたが、少々ウンコの機嫌が良かったので、前とは違い和式でも出す事に成功した。

肛門はヒリヒリと痛んでいるが、腹の痛みは治ったので良しとしよう。今度からは痔の薬も忍ばせて置かなければならんな…そう考えながら、指を引っ込めた……が、何かがおかしい。

恐る恐る、入れていた右人差し指を確認すると、ゴムがなくなっていた。抜く時に便器に落ちたのだろうか、と下を見てみるも、やはりゴムの姿がない。


だとするとゴムは……………、


肛門の中だ。


試しに尻に力を入れてみると、確かにある、中にヤツがいる…!中にあると言う事は、ウンコを出せば一緒に出て来そうものだが、残念ながらウンコの残量はもう私の腹にはない。

私は焦った。もう予備のゴム指袋もなく、だったら生で指を入れようかとも考えたが、もしかしたら指の匂いで周りにバレてしまうかもしれない。

外で、しかも学校でそんなリスクは犯せない。でもこのまま肛門にゴムが入ったまま、何食わぬ顔で教室に戻るなんて私には……………。



しばらくして、私はいかにも平気な顔して教室に戻り、授業を受けて、体育で運動して、弁当を食って、清掃をして、下校した。


肛門にゴムを入れたまま。


家へ帰宅すると、すぐさまトイレに直行する。このまま病める時も健やかなる時も富める時も貧しき時も、ゴムと永遠に共にする事なんて出来ない。私は覚悟を決めて、指を入れ捜索を開始した。

ゴムを付けてしまうと指の感覚が鈍くなるので、何年振りかの生の指を第二関節を過ぎた所まで深く入れると、遭難者ゴムを発見。

上手く指の腹を使い格闘する事、数十分。痛みにも耐えてやっとこさ救出完了。

そして助かった遭難者ゴムは無情にもトイレの水に流されて行ったのだった。


二度とこんな事が起きないよう、今度からはゴム指袋を長く切って対策をして、このゴム指袋肛門遭難事件は一件落着したのだったが……、一番の問題である肛門に指入れをやめる、という考えは一ミリもなかった。


そんな甘い考えの代償を払う時は刻々を近づいてるのに、やはり私は愚かにも指を入れ続けるのである。


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