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4.異変

指を入れるようになってから、私のウンコの調子は前より大分マシになったがトイレの時間は相変わらず、三十分は余裕で入っていた。

毎回出るようになったものの刺激してすぐ出る訳ではなく、元々の便秘が治っていないので時間が掛かっていた。つまり私は毎日、長い時間、ウンコに触るのが日課となってしまったのだった。

はっきり言って、最悪にきったねぇ事をしているのは分かっている。………だけど、ウンコが出ない身体的、精神的苦しみを考えると、そんな事は屁でもない。むしろ調子づいて、ズブズブと入れまくっていた。


そんな生活するようになって数年経った頃、私の体にある異変が起こる。


こんな話、信じられないかもしれないだろうが…。


人差し指が変色したのだ、……正確には指の爪の部分が黄土色に、まるで薄くネイルしているかのように。


予期せぬ体の異変に愕然する私の脳内には、家の漬物が浮かんでいた。

台所で母が漬物を漬けているのを、私はよく見かけていた。漬物は乳酸菌がありお腹に良いと言いながら、タッパーに入っている泥のような、糠と言う物の中にきゅうり、ナス、にんじん、大根など入れ、かき回す母の手は綺麗だった。

その事を指摘すると、母は珍しく嬉しそうに教えてくれた。

糠には肌に良い成分が入っていて、その糠を毎日かき回して触れているから綺麗になったと…。


異変の謎は解けた。

ウンコには肌に悪い成分が入っていて、そのウンコを毎日約三十分はかき回して触れているから汚く変色したと言う事だ。

よく考えれば、たった一日だけでも冷蔵庫に漬けて置いた漬物は、かなり塩味が効いている。だとすると、たった三十分でも肛門に漬けていれば、変色もするし臭くもなる。

実を言うと、その頃には普通の手洗いだけでは、ウンコの匂いに敵わなくなっていて、家にあるあらゆる物を使って手洗いをしていた。固形石けん、泡石けん、台所洗剤、この三種さんしゅ神器じんぎで最低五分以上洗う事により、やっと人差し指は匂いから解放される。

黄土色の爪は家にあるカッターを使い、爪の表面を削って強引に元に戻すが、こんな事をしても結局毎日触れば元に戻るのは目に見えていた。


このままじゃいけない………。


この、いけないというのは指を入れる事ではなく、家族に知られてはいけない、と言う意味だ。

最近、長く執拗しつように手を洗っている所を母に見られてしまったので、早く何か対策しなければバレるのも時間の問題であった。


もう私は、指を入れなければ生きられない体になってしまったのだ。


そんな哀れなウンコマンを救ったのは何処にでもある、ちっぽけなゴム手袋。母が清掃の仕事で使うゴム手袋の箱を、洗面台の下にたくさん常備しているのを知っていた。ある事を思いついた私は、そこからゴム手袋を取り出し、ハサミで指の部分を切り取って人差し指に装着する。


すると、どうだろう。指は漬物になる事なく、綺麗に肛門に入れる事が出来るではないか!


使った後は、そのままトイレに流してしまえば完璧な証拠隠滅。そして何と言っても、切り取ればゴム手袋一つで五回分のゴム指袋が出来て、とってもお得!

無惨に切り残された手の平の部分は、ティッシュに包んでゴミ箱の奥の方に入れれば、完全犯罪の成立だ。


これで私の指入れウンコライフは保たれる………。


かと思いきや、またも新たな問題が現れるのであった。


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